分担研究报告书-圣路加国际病院.docVIP

平成24～25年度厚生労働科学研究費補助金（がん臨床研究事業） 分担研究報告書 身体的要因の解明と対策 研究分担者：小松　浩子（慶應義塾大学看護医療学部 教授） 研究協力者：青柳　秀昭（慶應義塾大学健康マネジメント研究科修士課程） 中尾真由美（慶應義塾大学看護医療学部 助教） 矢ヶ崎　香（慶應義塾大学看護医療学部 助教） I. ホルモン療法を受ける乳がん患者の倦怠感とQOLの関連（平成24年度） A. 研究目的 倦怠感は，がん患者に最もよく見られる症状の1つであ進行がん患者では50％以上，経過観察時でも30％以上であると報告されている) 2) 3)。 加えて，倦怠感は，生活の質（QOL）低下有意に関連することが。臨床現場では，倦怠感に対する過小評価や治療が行き渡らないことが問題になっている。背景に，患者の倦怠感に関する信念や態度に関連した心理的バリアがあることが注目されている。 　患者の倦怠感に対する信念や態度は，心理的バリアとして概念化され，評価指標の開発が進められてきた)。Tamiは，倦怠感の心理的バリアを，「倦怠感を評価し対処することの妨げとなるような患者の信念や態度」と定義し評価尺度を開発している)。 本研究の目的研究対象 外来受診予定の乳がん患者で，以下の基準を満たす患者全てを対象候補者とした。研究参加に同意した患者を対象者として選定した。 【適格基準】 ?病名や病期，治療について医師より説明され，?乳がんの診断後1か月以上経過している術後の者 ?外来で乳がん治療（ホルモン療法3年以内）を受けている者 ?20歳以上の者 ?日本語による会話?識字が可能な者 ?担当医により調査協力に可能な状態であると判断された者調査方法 対象候補者に，研究目的，調査内容，調査方法（質問紙への記入依頼とカルテ閲覧許可依頼を含む）等について文書および口頭で説明を行なった。質問紙を手交配布し記入後は外来に設置した回収箱にて回収した 3. 測定用具 (1) 日本版尺度の作成日本語版の質問票は，原文を研究者が邦訳し，次いで，質問票を知らない他のネイティブに近い語学を持つ者が再度英語に翻訳ネイティブに近い語学をもつ者(前述とは別の者)が日本語版から英語へのバックトランスレーションを行日本語版FBS尺度を，外来に通院する乳がん患者を対象に測定日本語版FBSの実用性?妥当性?信頼性を(2) 倦怠感に関する患者の知識：Patient Fatigue Knowledge Scaleは，Tamiらが米国のNational Comprehensive Cancer Network: NCCNのガイドラインに基づき開発した15項目の倦怠感に関する正か否かの言明から成る尺度である。(3) 倦怠感尺度：Cancer Fatigue Scale 　CFSは，がん患者に経験される倦怠感（だるさ）を多次元（身体的，認知的，情動的次元）的に，簡便に評価するために，日本で開発された質問票である。現在の倦怠感について尋ねる15項目から成り，5段階リッカートスケール（1=いいえ，5=とても）による回答方式である。本邦における統計学的解析の結果，高い妥当性，信頼性を有していることが確認されている0）。(4) 抑うつ：K6 　K6は，2002年にアメリカのKesslerらにより開発された精神疾患のスクリーニング尺度である。抑うつ?不安障害のスクリーニングを目的とした6項目から成り，過去30日間にどれくらいの頻度であったかを，5段階（1＝全くない，2=少しだけ，3=ときどき，4=たいてい，5=いつも）で評価し，得点は0-24点である。日本語訳され信頼性?妥当性が検証されている1)。5) 生活の質 生活の質は，The Functional Assessment of Cancer Therapy scale-Breast（以下FACT-Bと記す）を用いて測定した。FACT-Bは日本語訳され日本語版の信頼性?妥当性が検証されている2)。【その他の健康関連項目】 人口統計学データおよび疾患?治療データ ?人口統計学データ：年齢，結婚?パートナーの有無（既婚，未婚or離婚），同居者の有無，労働状態（診断後，治療後の変化），教育状態 ?疾患?治療データ：，診断からの期間，治療歴（術式，薬剤?期間等），併存疾患人口統計的データ，医学的データ，各尺度の得点（下位尺度得点，合計点含む）の記述統計量を算出した。倦怠感（CFS，下位尺度），倦怠感マネジメントのバリア（FBS， FKS）と生活の質（FACT-B，下位尺度）との関連を検討するために，FACT-B，下位尺度の得点を従属変数とした重回帰分析を実施した。 バリアが高い人の特徴を明らかにするために，FBS得点平均値が2.5未満の群と2.5以上の群に