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Title Symmetry : 金属超微粒子の形に関連して Author(s)奈良, 重俊 Citation物性研究 (1985), 45(3): 197-221 Issue Date1985-12-20 URL /2433/91869 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversionpublisher Kyoto University 物性研究45-3(1985-12) 55原子クラスターにおけるCubic-Symmetry とIcosahe血al-Symmetry -金属超微粒子の形〝に関連して- 三菱電気(秩)中央研究所* 奈 良 重 俊 (1985年 10月22日受理) §1.はじめに Uyeda,Kimotoらの手により,ガス中蒸発法と呼ばれる方法によって超微粒子(サイズにし て数十Å-数千Å)が,その美しい形と共に話題に供されてから久しい 〔1〕｡しかしその物 理学的な研究は,超微粒子の核生成(もしあるならば)とそれからの成長の勤的過程の微視的 な観点からのアプローチにおいて,実験的にも理論的にも困難を極めている｡予想される10Å 程度のサイズの生成核から後の成長過程を動的にin-situ観察することは現在の電子顕微鏡の構 成から推測するに難しく,ガス中蒸発法で超微粒子を作ることにっいて言えば,測定対象が高 温で流れている希ガス中に存在することがその困難性の原因を与えている｡しかしながらその 希ガス流中に,中空のノズルを差し入れて任意の場所から試料をピックアップして来て,それ を直ちに電子顕微鏡にかけて観察することにより何らかの知見を得ようとする試みはいくつか の例が報告されている 〔2〕｡また最近 Iijima･らによって開発された高性能電子顕微鏡により, シリコンあるいはカーボンの微粒子に更に小さな超微粒子(サイズー20Å)状の金 (Au)など を付着せしめられたものが時間的に連続観察され,成功裡にビデオに収録されたものが発表さ れて話題を呼んでいる 〔3〕など,徐々にその知見は増えつつある｡最近までは,超微粒子の 形及びその内部構造を知ることは,その成長過程を知ることに他ならないと考えられて来た｡ しかしIijimaらの仕事によると, 20Å程度の超微粒子は極めて激しい変形運動をしているこ とが観察されている｡ ただし,彼らが観測している試料は強い電子線の照射を受けていることを考慮に入れなくては ならない｡だとしても,上記の｢形(構造を含めて)を理解するためには成長の歴史を知らね *)NARA,Shigetoshi. この論文中のほとんどの計算は筆者が新技術開発事業団の｢林超微粒子プロジェクト｣に派遣(19 83年4月一1985年3月)されていた期間中に行われたものである｡ 1197- 奈良重俊 ばならない｣との考えを揺らがせるものであると言える｡なぜなら,一つの可能性として,あ る程度の大きさに成長してからも,その変形運動によって成長の歴史とは無関係な形(構造) に変わってしまい,われわれが現在観察しているものは別の理由によって形とか構造が沢まっ てい草かbしれないからである｡こうした状況下で,筆者が少数個のクラスターの構造安定性 を調べようとするのは,次に述べるような二つの意味を持つと考えるからである｡その第-は 従来どおり｢成長の歴史を知る｣立場に立っと,核生成の際の embryo(生成核)の形にっい ての理論的知見を得ることにある 〔4〕｡たとえばセミミクロなサイズの結晶において,em- bryoとそのごく付近の原子配置の対称性とそれ以外の部分(後になって成長した部分)の原 子配置の対称性が異っており,それがまた多結晶粒としてその特徴のある形〝を帰結せしめ ている例がある｡雪の結晶性についてそういった考察がある 〔5〕が,超微粒子の場合にもそ うした方向で形状を解釈できる場