史料绍介上杉顕定文书集.PDFVIP

史料紹介・上杉顕定文書集 黒 田 基 樹 はしがき 本文書集は，戦国初期の関東管領山内上杉顕定の発給文書・受給文書を集成し， 編年順に配列したものである。戦国期の関東上杉氏に関しては，関係史料の集成は みられていないのが現状である。研究進展のためにはそれらの集成は不可欠のこと であり，そのためここでは，その基礎作業の一つとして，上杉顕定の発給文書五九 点，受給文書一一点，計七〇点を集成し，その他，家宰・宿老・奉行人等の副状・ 奉書一二点を参考文書としてあわせて収録した。 収録にあたっては，文書ごとに通番を付し，発給文書については宛名と文書形式 によって示し，受給文書については発給者と文書形式によって示した。また出典史 料名については一般的な史料名を採用した。翻刻形式についても，一般的な史料集 に準じるかたちをとり，注記については人名・年代など，必要最小限のものにとど めている。 なお一部の文書については，写真版による確認をとれていないものがある。今後 それらの確認作業をすすめていく必要があるが，ここでは現時点での作業成果とし てまとめておくことにしたい。また今後においては，憲房・憲寛・憲政の歴代，お よび長尾氏を始めとする譜代被官についても同様の作業を行ってきたいと考えてい る。これらによって，戦国初期の関東上杉氏研究の進展に，多少とも寄与すること ができれば幸いである。 １ 豊島勘解由左衛門尉宛感状（豊島宮城文書） 去八日於上州綱取河原合戦之時，数ヶ所被疵切乗馬，家人等討死・被疵之条，粉骨 之至，神妙候，弥可励忠節候，謹言， （応仁二年） 十月十四日 竜若 豊島勘解由左衛門尉殿 ― 1 ― 駿河台大学論叢 第40号(2010) ２ 大熊伊賀守宛感状写（記録御用所本古文書一） 去八日於上州綱取河原合戦之時，家人被疵之条，粉骨之至，神妙候，弥被抽忠節候 者，可為感悦候，恐々謹言， （応仁二年） 十月十四日 竜若在判 大熊伊賀守殿 参考１ 大熊伊賀守宛長尾景信副状写（記録御用所本古文書一） 去八日於当国綱取河原合戦之時，自身被抽粉骨，御被官被疵条，御忠節之至候，仍 （足利義政）（足利政知） 被成御感状候，京都様・豆州様へも御注進候，定可有御感候，弥被励御忠勤之者， 忠広等可申沙汰候，恐々謹言， （応仁二年） （長尾） 十月十四日 景信在判 大熊伊賀守殿 参考２ 大熊伊賀守宛長尾頼景副状写（記録御用所本古文書一） 去八日於当国綱取河原合戦之時，自身被抽粉骨，御被官被疵条，御忠節之至候，無 （長尾景信） （足利義政）（足利政知） 是非候，仍被成御感状候，幷左衛門尉書状添進候，京都・豆州様へも御注進候，寔 可有御感候，恐々謹言， （応仁二年） （長尾） 十月十四日 頼景在判 大熊伊賀守殿 ３ 細川勝元奉書写（文明三年造内宮役夫工米記） 造 内宮料関東国分役夫工米事，早守事書之旨，厳密被相懸之，可被究済之由，所 被仰下也，仍執達如件， （細川勝元） 文明三年三月廿七日 右京大夫在判 上杉四郎殿 「右京大夫勝元」 ４ 豊島勘解由左衛門尉宛感状（豊島宮城文書） （也） 去十五日足利庄赤見城責落時，被官人等被疵之条，神妙□，弥可励粉骨也，謹言， （文明三年） 四月十六日 顕定（花押１） 豊島勘解由左衛門尉殿 ― 2 ― 史料紹介・上杉顕定文書集 ５ 豊島勘解由左衛門尉宛感状（豊島宮城文書） 去廿三日上州佐貫庄立林要害中城攻落時，親類彦五郎幷家