事例研究②.PDF

■事例研究② 冷凍機用ポンプ流量制御の省エネルギー効果の検証 伊藤・修一 SYUICHIITO (禁妄晶名品鷺啓柵研究所) よる変流量制御が行われている。 しかし,一般的 はじめに には,1次側にあたる冷凍機用のポンプは定流量の 京都議定書の批准により二酸化炭素を代表とす ままであった(図-2)。 る地球温暖化効果ガスの削減は猶予のないものと 今回紹介する熱源省エネルギー制御は,2次側 なった。その実行策として「エネルギー使用の合 の変流量制御にとどまらず,1次側の冷水ポンプ 理化に関する法律(省エネ法)」が1999年に続き および冷却水ポンプに対してもインバータで流量 2003年において更に改正強化されることが決まっ 制御を行うものである。 ている。産業分野に比べ民生分野においてエネル 図-3に冷凍機用ポンプの流量制御のフロー図 ギーの使用量が増加の一途を辿っていることへの を示す。まず,2次側が空調機の負荷に応じて変 対応である。また,ますます厳しくなる経済環境 流量制御されていることが前提となる。 特徴とし から,自治体,企業を問わず建物の維持管理費, ては,1次側と2次側を分ける往ヘッダと還りヘ 特にエネルギー費の削減は強い要求となって表れ ッダ間のバイパス管に流量計を取り付け,その流 ている。以上の二酸化炭素排出の削減と運用コス 量が0に近づくよう1次側ポンプの流量を制 トの削減は,建築設備から見ると設備の最適運用, この手法により,1次側と 御している点である。 省エネルギー化という点で一致している。 しかし, 2次側の流量がバランスし,負荷に応じた搬送が 省エネルギーの取り組みが進んでいるわが国では, 系全体で実現され,搬送に関わるエネルギーが最 既設建物に対して費用対効果の高い省エネルギー 小化される。 システムは限られてくることが多い。 1.2コントローラ概要 図-1に見られるようにビルの消費エネルギー 図-4に冷凍機用ポンプの流量制御を行うコン の半分近くが空調に関わるものである。 ここでは, その中の熱源の搬送系(ポンプ)を対象とした省 エネルギー制御で,従来あまり取り組まれてこな かった冷凍機用ポンプの流量制御について,その 制御手法と省エネルギー効果について述べる。 既 設建物に対しても有効な省エネルギーシステムで あり,対象ポンプの消費電力を60%削減でき,建 物全体としても2-3%のエネルギーの削減が可 能となっている。 冷凍機用ポンプ流量制御システム 1. 1.1制御概要 空調の熱源となる冷水または温水の搬送系の従 (出典)野原:事務所ビルの省エネルギー,空気調和・衛 来からの省エネルギー制御として,熱源の2次側 生工学,Vol. 6(1996.6) 70,No. にあたるポンプの台数制御,またはインバータに 図-1ビルのエネルギー消費比率 2003・1・建築設備士41 冷凍棟　← 定流量 図