平成27年度-anan.PDF

平成27 年度 事業報告 公益財団法人食の安全・安心財団 1 2 平成２７年度事業報告 公益財団法人食の安全・安心財団（以下、財団）は、我が国の食の安全の向 上及び食に対する社会の信頼の確保に資するため、その活動の目的をステーク ホルダー間の異なる立場・意見の調整を行うこととし、活動の中心をリスクコ ミュニケーションの研究と実施としている。 平成２７年度は、トランス脂肪酸に関する米国食品医薬品局（ＦＤＡ) の決 定や加工肉及び赤肉の発がん性に関する国際がん研究機関（ＩＡＲＣ）の発 表など、食の安全にかかわる問題が海外からの情報として伝えられた。また、 遺伝子の変化による新型ノロウイルスが確認されたことから、ノロウイルス による食中毒の大流行の可能性について厚生労働省から警戒情報が出された。 さらに、本年1 月に発覚した、廃棄物処理業者に引き渡された廃棄食品が、 食品として流通して小売店等で販売されるという事件は、食に対する消費者の 信頼を再び損なうこととなり、廃棄食品の不正流通に向けた対策が検討されて いる。 食品表示制度については、食品表示ルールを一元化した「食品表示法」が、 平成２７年４月１日に施行され、本年４月１日には、同法に基づく製造所固 有記号のルールが改正された。また、景品表示法による課徴金制度が、本年 ４月１日からスタートしている。 さらに、環太平洋パートナーシップ協定（ＴＰＰ）の大筋合意に伴う国内対 策として、加工食品の原料原産地表示の拡大に向けた議論も開始されている。 財団は、これら諸課題に対しては、積極的に情報を収集するとともに、適切 な情報提供に務めてきた。 １．食の安全・安心にかかわる諸問題と対応 （１）新食品表示法の施行と外食等におけるアレルギーの自主的表示 食品表示ルールを一元化した 「食品表示法」が、平成27 年４月1 日に施 行された。 さらに、表示責任者である製造者若しくは販売者に加え、製造所を併記す ることを原則とする固有記号のルールが、本年4 月1 日から施行された。 中食・外食の表示は、ＪＡＳ法と同様に義務の対象とはされていないが、 法案を審議した衆参の「消費者問題に関する特別委員会」において、中食・ 外食のアレルギー表示の在り方については速やかに検討に着手することを 求める附帯決議がなされ、消費者庁は、平成26 年4 月21 日に「外食等に おけるアレルゲン情報の提供の在り方検討会」を設置し、同年12 月に、法 1 による義務化ではなく事業者の自主的な取組を推進するべきとする中間報 告を取りまとめた。 アレルゲン情報は、食物アレルギー患者にとって極めて重要であり、正確 であることが求められる。消費者庁の中間報告を踏まえて、財団では、事業 者の自主的な取組を推進する立場から、関係団体と連携して幅広い関係者の 参加による議論を深めるため、一般社団法人日本フードサービス協会（ＪＦ）、 一般社団法人日本惣菜協会 （惣菜協会）と財団で構成し、全国飲食業生活衛 生同業組合連合会（全飲連）の協力で運営する「外食・中食産業等食品表示 適正化推進協議会 （適正化協議会）」に「外食等におけるアレルゲン情報推 進検討会」を設置、自主的推進に向けて具体的な検討を開始した。 ○外食等におけるアレルゲン情報推進検討会 ・第一回検討会 平成2 ７年8 月11 日 ＪＦセンター会議室 （検討委員） 座長 今井 孝成 (昭和大学医学部小児学講座 講師) 阿南 久 (一般社団法人消費者市民社会をつくる会 理事長) 小城 哲郎 (全国飲食業生活衛生同業組合連合会 専務理事) 関川 和孝 (一般社団法人日本フードサービス協会 専務理事) 園部 まり子(NPO アレルギーを考える母の会 代表) 丹 敬二