科目机能性材料化学(ChemistryofFunctional.PDFVIP

2017 秋学期・月２・3学年・2単位 科　目 機能性材料化学 (Chemistry of Functional Materials) 担当教員 岸田　晶夫、木村　剛 【１】 授業の目的と学習成果〔教育目標・具体的な項目〕 本講義では、医学・薬学のみならずバイオ関連技術に応用される機能性材料－バイオマテリアルについて、概要から評価法、臨床 応用およびその将来像にわたって解説します。一般的な医用材料工学についての知識の習得を目指します。この講義で得られる知 識は、研究室で用いる種々の用具や研究テーマの理解に役立つものです。 ＜教育目標＞ （１）十分な知識・技能と、科学的な探究心・思考力・批判力をもつ ＜具体的な項目＞ 関連する分野における概括的な基礎知識・基本技能（１） 【２】 授業計画 No. 内　　容 1 高分子バイオマテリアルと医療について：一般的に材料と呼称されるのは、金属材料、無機材料、および高分子材料の３つ である。これらの分子レベルでの違いと高分子材料の特徴について解説する。さらに、本講義の導入として、実際の高分子 バイオマテリアルを例にあげて医療との関わりについて解説する。 2 高分子材料１（合成）：高分子材料の種類や分子形態を概説し、代表的な合成方法である付加重合および縮合重合を解説す る。 3 高分子材料２（物性）：高分子材料の特性について、代表的な物理特性と熱特性を、測定方法を示しながら概説し、高分子 材料の特徴的な特性発現の機序を解説する。 4 ハイドロゲル：食品や衛生材料の主構成成分であるハイドロゲルの分子形態、合成、物性などの基本的な特徴とバイオマテ リアルとしての応用を解説する。 5 高機能性高分子材料：超高強度、超撥水性、超親水性、透明性の高機能性材料について、それらの分子設計、発現機序、特 性、応用などについて解説する。 6 人工臓器１（循環器系）：生体の循環器系を概説し、循環器系の人工臓器である人工血管、人工心臓の問題点を挙げ、その 解決のために必要な材料の分子設計法と実際の製品について解説する。 7 界面科学：バイオマテリアルの主たる機能は、表面の特性にある。これを理解するために、材料の表面や生体と材料の界面 で引き起こる表面・界面現象について、基礎的な物理化学の観点から解説する。 8 タンパク質吸着・細胞接着：バイオマテリアルが細胞とタンパク質を含んだ塩溶液と接触した際には、バイオマテリアルへ のタンパク質の吸着や細胞接着が起こり、それに引き続く生体反応が開始される。それらの現象、メカニズムおよび制御法 を解説する。 9 抗血栓性：血液と接触するバイオマテリアルでは、血液を構成する成分（タンパク質と細胞類）との反応性を考慮する必要 がある。主たる生体反応である血液凝固カスケード反応、バイオマテリアル表面での血液凝固反応および抗血栓性材料開発 について解説する。 10 生体反応・炎症：生体内にバイオマテリアルを埋入した際に示される生体の反応（特に免疫系反応）や、その生体反応が引 き起こるメカニズムなど解説する。 11 人工臓器２（代謝系）：生体内で行われる基礎的な代謝を概説し、代謝系の人工臓器の代表である人工腎臓を中心に、人工 腎臓、人工肝臓、人工膵島について、材料化学の観点から解説する。 12 人工臓器３（歯科材料）：歯科領域で用いられる歯科材料の開発を解説する。 13 ドラッグデリバリーシステム：薬剤を体内で効率的に機能発現させるための材料、技術、方法論であるドラッグデリバリー システムについて解説する。 14 核酸化学：核酸を医薬として用いる核酸医薬について、核酸の合成方法、修飾方法を概説し、核酸医薬を用いた幾つかの治 療戦略を解説する。 15 再生医療：組織・器官などの修復に関する再生医療について、その戦略、技術や用いられるバイオマテリアルなどについて 解説する。 【３】 到達目標 生命・生物系の機能性材料であるバイオマテリアルの体系的知識取得を目的とします。医療に用いられる材料を取り扱いますが、 材料の見方・考え方を身につけることが目標です。具体的な到達目標は、 １．医療に用いられるバイオマテリアルの種類を説明できる ２．なぜそれらのバイオマテリアルが用いられているのかを説明できる ３．バイオマテリアルの特性