画法几何 学 - J-Stage.PDF

ガ ウスか ら見 たモ ンジュの “画法幾何 学”* フ リ ッ ツ ・ホ ー エ ンベ ル ク** (増 田 祥 三 訳)*** 数学,天 文学,測 地学および物理学はガ ウスの傑 出 した業績 に負 うところが多い。彼の時代 の人々は既 に彼がアルキメデス とニュー トンとにのみ比較 しうる数学者 であると考 えていた。 彼 はその独創力 によって彼 自身の学問的活動の範囲内にない領域においても的確 な判断を下 し, 評価 をおこなった。 この こ とに対す るいかに も彼 らしい一つ の例 が あ る。 それ はガ ウスが モ ンジュの基礎 的著作 画法幾何学 ”(Geometriedescriptive)につ いて どの よ うに考 えてい たか とい うこ とであ“ る。 ガ ウスは1813年彼 の批評 を “ゲ ッチ ンゲ ン学報 ”(GottingischegelekrteAnzeigen)に 発表 した。 この書評 はガ ウスの “全集 ”(Werke)の第4巻359～360頁に再 録 されて い る。 そ の本文 を邦 訳 して下掲 の著書発行 紹介(複 写)の 後 に全集 にな らっておい た。 Gottingische gelehrte Anzeigen. 1813 Juii 31. Geometriedescriptive par GASPARDMONGE,de linstitut des sciences etc. Nou velle edition. Avec un supplementpar M. HACHETTE,instituteur a lecole imperiale polytechnique etc. Paris, bei J. KLOSTERMANNdem jungern. 162 und 118 Seiten in Quart. 空間の情況 を対象 とす る幾何学は,空 間が単に二次元で(平 面上で)考 えられ るのか,あ る いは同時にすべての三次元で考 えられ るのかに従 って二つに大 きく区分せ られ る。後者 がその 性質上前者 よりはるかに広範囲にわたるものであ り,またはるかに多様 な問題 と研究 を提供す るにちがいないことは容易 に理解 され る。 だか らた とえ現在 の初等幾何学の うち平面幾何学の 方が立体幾何学 よりも大 きい部分 をな しているに しても,それは単に後者が前者に比 して発達 形成の度がずっ と小 さいことに基因す るに過 ぎない。実際,特 に過去二世紀間,後者の研究は ますます解析学の助 けをか りてお こなわれ,い わばそのよ うな研究が直接の想像力のみ を使用 す る幾何学か ら取上げ られた。幾何学的取扱 にまさる解析学的取扱 の利点すなわちその簡潔 さ, 単純 さ,一様 な経過,一 般性が,研究の困難かつ複雑になるにつれて通常一層確実に明 らかに なることも否定できない。 それにも拘 らず幾何学的方法がたえず開発 され ることも極 めて重要である。 この方法の方が 多 くの個別的な場合,特 に解析学が熟練 した取扱 を うけない場合 には直接かつ迅速に 目的に通 * 昭和53年6月28日受付 ** em. Prof. Dr. Fritz Hohenberg, Technische Universitat Graz. *** 大阪大学教養部 図学研 究　 第23号　 -27-　 昭和53年9月 ず ること,そのよ うな ときにこの方法が特有のエ レガンスを示す ことは別 として,こ の方法は やは り特に具象的な点において,ま た青年期は じめの学習において不可欠であることに変 りは ないだろ う。 それは一方的な偏倚 を防止 し,厳正 さと明快 さに対す る感受性 を鋭 くし,洞察力 に対 して,解析学的方法によっては殆ん ど増進 させ られない。時にはむ しろ危険にさらされ る 活動性 と直接性 を与えるためである。以上の理 由か ら最近数十年間に何人かのフランス幾何学 者 が一つの平面上にない点 と直線め間の関係,相 異なる平面間の関係,空 間曲線,さ