Materials designated as rare books - 国立国会図书馆.PDF

Materials designated as rare books 新 た な 貴 重 書 の ご 紹 介 第 47 回 貴 重 書 等 指 定 委 員 会 報 告 　国立国会図書館は、蔵書のうち、特に注意して取り扱うべき重要な資料を「貴重書」「準貴重書」と定 めています 1。平成25年2月20日、古写経1点、古活字版4点の計5点を貴重書に、絵本2点を準貴重書に 指定し、累計で貴重書は1,270点、準貴重書は792点となりました。 　新たに貴重書、準貴重書に指定した資料についてご紹介します。 1　 「国立国会図書館貴重書指定基準」「国立国会図書館準貴重書等指定基準」の規定に基づき、館内の貴重書等指定委員会が行っている。 今回、準貴重書に指定された『來禽圖彙』より「竹鷄・ヒルカホ」（10ページに解説） 4　■ 国立国会図書館月報630号 2013.9 貴重書 大般若波羅蜜多經 折本　毎半折4行　毎行17字内外　薄墨界　界高 20.2cm　界幅1.8cm　利休鼠無地表紙　楮紙16紙継 卷第378 奥書「願以書寫力 生々開慧眼 又以書寫徳 一切皆利益 ＜請求記号　WA2-34＞ / 川合御社一筆經也 執筆沙門願空」　識語「承安四年 ［（唐）釋玄奘譯］　沙門願空寫 八月九日以随心院本賢誉移點了」「點校了（朱筆）」　第 ［平安後期］ 1紙と第2紙の紙継箇所の紙背に「大和國廣瀬郡川合 1帖　大きさ25.6×7.4cm 宮」、 第7紙と第8紙の紙継箇所の紙背に「川合宮」と 墨書あり　虫損多　布川角左衛門寄贈 　平安時代後期の僧、願空（生没年等不詳）が一 人で書写した『大般若波羅蜜多経』全600巻のう ちの1巻（巻378）です。川合宮（奈良・廣瀬神社） に奉納されたもので、「川合宮一筆経」または「願 空一筆経」と通称されます。600巻に及ぶ大般若 経を一人で書写したものとしては早期の遺例とし て知られています。 　「川合宮一筆経（願空一筆経）」の多くは散逸 しています2が、残された巻の奥書や識語による と、仁平4（1154）年7月から永暦元（1160）年4 月まで3おおむね巻の順を追って書写されたこと、 その十数年後の承安4（1174）年に、安隆寺（廣 瀬神社の宮寺）の僧、賢誉（生没年等不詳）が、 興福寺随心院本 4 によって点を加えたことがわか 『大般若波羅蜜多經』　奥書 ります。 2　 大谷大学図書館（巻101-105, 111, 342, 349 ※巻102は補配）、京 　国立国会図書館所蔵の巻は布川角左衛門（1901- 都国立博物館（巻116）、京都文化博物館（巻135）、龍谷大学禿 氏文庫（巻202）に所蔵されるほか、田中塊堂著『日本写経綜鑒』 5 6 （三明社　1953年刊）、田中塊堂編『日本古写経現存目録』（思 1996　編集者、出版研究者）から寄贈されました 。 文閣　1973年刊）に巻152, 291, 350, 351, 353, 362, 410の記載あ り（現所在不明）。 現在の装丁は青みがかった灰緑色の表紙を付した 3　 巻101奥書および『日本古写経現存目録』記載の巻401奥書に よる。 折本ですが、折山に対称では