奈良女子大学附属小学校服部真也.PDFVIP

奈良女子大学附属小学校 服部 真也 Ａ表現（２）立体 ７時間 育てたい資質や能力 ・「願いが叶った瞬間に見えている景色」について感じたことや想像したことを楽しんで 表現しようとする （関・意・態） ・景色の中にどんなモノがあるのかをイメージし、何をどのような材料や方法でどこに 配置するかを考える （発・構） ・モノの大きさや配置、重なりなどを針金の穴から覗きながら調整するなど、工夫して 小学校の教師になり、子どもたちに初めて 家を建てる大工になり、角材をくぎで 表現する （創） 出会い、黒板に名前を書き、振り向く瞬間 留めようと金づちで打つ瞬間 ・針金の穴から覗きながら、発想の面白さや作品のよさを伝えたり、感じとったりする （鑑） 準備物（教師） 工作用紙、針金、ガムテープ、画用紙、色画用紙、色紙、カッター、 カッターマット、多用途強力接着剤 準備物（子ども） 描画材（水彩絵の具、パスなど）、接着剤（のり、はさみ、ボンド）、 材料（紙粘土、布、毛糸など） ６月の研究集会で公開した題材 「らいふのおと」。 最終的に、子どもたちがどのような景色を見たいと願って表現したか、 夏の競泳全国大会に出場し、会場入りする 九回２アウトで打順が回り逆転ホームラン 針金の穴から見えた景色を紹介します。 瞬間 を打ち、ボールを見つめながら走る瞬間 小説家になり、自分の書いた小説を１０歳 プラモデルの設計士になり、足のパーツの 電車の運転士になり、三重県方面に 犬の訓練士になり、試験会場で犬に指示を の少女が部屋で読む姿を想像する瞬間 関節部分のネジをドライバーで締める瞬間 運転していく瞬間 出し、障害物を跳び越えようとする瞬間 ５年生になり、「らいふのおと」という自分を見つめる合科学習（図 1）を行っています。今を基 子どもたちの表現へのこだわり 点に、過去の自分や未来の自分を見つめ、願いを持ってインタビューに行ったり調べたりしています。 子どもの生活 総合的な 図画工作科 学習の時間 （図１：らいふのおとの合科学習としての捉え方） （図２：箱の手前に置いた、のぞく針金） 造形題材「らいふのおと」は、「願いが叶った瞬間に、そのときの自分が見ている景色」を立体に 表現する題材です。その願いが叶った瞬間に見えたであろういくつものモノや人を、箱の中に立体的 （針金の穴からのぞきながら、一緒に踊る （両手の指を５本ずつつくるより、２本に減ら に配置して表していきます。見る視点を定めた方が、その瞬間の自分が見ているように表しやすいと バレリーナの角度を調整しました。） して表した方が、結果的に、握る手らしく 考えたので、箱の手前に針金を（図２）のように置いて、針金の丸い穴からのぞきながらそれぞれの 見えることを発見しました。） 配置を考えるように題材を設定しました。 題材を通して育つ姿 この題材は、けいこ（造形）にとどまらず、日々の生活の中で「らいふのおと」を意識する子ども たちの姿が多くみられました。学習が進むにつれ、より本物らしく表現したいと感じ、実際に行って 写真を撮ってくる子や、そこで働いている人におたずねをしてイメージをふくらませる子、調べた資 料を持ってくる子、家で描く練習をする子など、造形学習以外の準備をする姿が多くみられました。 また、「のぞいて見える景色」と「いろいろな角度から見た景色」とが違うことに気づき、毎回、 何回も何回ものぞきながらつくるようになりました。その瞬間に見えた景色だと感じられるように、 針金を一旦外し、針金の位置や高さ、穴の傾きにこだわり、調節して、付け替える姿もみられました。 （画用紙だけでなく、カーテンに布を、カルテに （針金からのぞいたところがその時の自分の クリアファイルを、パソコンに紙粘土を使い 目線だと考え、ケーキ屋