技术情报-kotobuki.PDFVIP

水のコトブキ （技011号-排06）1/2　2012年11月1日 壽化工機株式会社　技術本部 技　術　情　報 名古屋市瑞穂区豊岡通1-14 TEL　052-853-2361 弱酸性カチオン交換樹脂を用いた排水処理 （PAT 5042970） FAX　052-853-3701 １．はじめに 　当社はこのたび、排水の再利用を目的とした新たな排水処理方法を開発しました。この処理方法は、弱 酸性カチオン交換樹脂を使用することに特徴があります。実際に、市水の供給に制約がある岐阜県下A社 工場の生産工程からの排水（破砕されたセメント粒子、主にCa2+を含むセメントからの溶出物を含む）から 微粒子とCa2+を除去するシステムを納入しました。 　微粒子を前段で「浸漬型膜ろ過法」により除去し、後段ではイオン交換樹脂を用いてCa2+のみを除去す ることで、水道水程度の水質が得られることが分かりました。 ２．微粒子の除去 ①　　原理 　自然沈降できない 10μm以下の粒子は通常、薬剤を加えた凝集沈殿処理をします。しかし、薬剤を 加えることで溶解性成分（イオン類）が増え、後段でのイオン分離の負荷を増大させます。このため、 自然沈降で分離できない微粒子のろ過方法として「浸漬型膜ろ過法」を採用しました。 ②　　浸漬型膜ろ過ユニットの特徴 ・ 中空糸膜を集合させたユニットからなり、膜面に0.4μm径の孔が多数開いている。 ・ 排水中の微粒子の径は1μm以上あるため、薬剤を使用せずに微粒子を分離できる。 ３．弱酸性カチオン交換樹脂によるイオン除去の特徴 ①　　原理 A社工場排水は、生産工程で混入した濁度成分と、セメントより溶出したCa2+を主に含みます。濁度成 分は前段の膜ろ過で除去されるので、後段ではCa2+のみを除去すれば元の水道水水質に戻ります。 2+ － ・ セメントより溶出したCa は、Ca(OH) または空気中のCO と結合してCaCO 、HCO を生成す 2 2 3 3 る。Ca(OH)2 はアルカリ性で、HCO3－は中性付近で存在する。 ・ CaCO3は水に不溶でろ過分離できるため、イオン交換の負荷にならない。 1) Ca(OH)2　→　Ca2+　＋　2OH－ 　　　　　　　水に不溶、ろ過分離できる 2) Ca(OH) 　＋　CO 　→　CaCO ↓　＋　H O 2 2 3 2 3) Ca(OH) 　＋　2CO 　→　Ca2+　＋　2HCO － Ca2+　　：　イオン交換で除去する 2 2 3 ②　　樹脂の性質 － －