出芽酵母ゲノム解析の现状と今后 - ライフサイエンス统合データベース .pdfVIP

ゲノム情報 出芽酵母ゲノム解析の現状と今後 小笠原直毅・村上康文 はじめに 出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の色体に分かれており,そ全 の全ゲノム配列決定のプロジ ゲノム配列決定プロジェクトの完成が発表され,12,068 e kbの 配列が公開されたのは昨年の4月 であった。その c 提唱と指導の下に,ヨ ーロツパ共同体(EU)の プロジ i v 結果何が明らかにされたのか,こ の間いくつかの総説 ェクトとして始まった6)。最終的には,そ れはEU諸 国 r e が発表され1～3),世界の酵母データベースでは日々新た の92研 究室621人 の研究者 と日本の理化学研究所 村 Se n i な解析結果が公開されているが3,4),その配列決定のも上のグループを含む英国,米 国,カ ナダ,日 本の5シ l n つ意義の全体像をわれわれはまだつかみきっていない ークエンスセンターが参加した大 きな国際共同研究と O e c n ように思われる。 とはいえ,全 ゲノム配列に基づ く新 なり,足 掛け8年 の歳月をかけて完成されたものであ e i c たな酵母ゲノム研究の試みも始まっており,こ こでは る。その結果は,染 色体 ごとに順次発表されつつあ S e f 筆者らの知見の範囲でそうした動きを紹介し,出 芽酵 り7～13),論文未発表のものを含めて全配列とその各種解 i L 母ゲノム解析の現状と今後を考えてみたい。 析結果が世界のいくつかの研究機関のWWWサ ーバー r o f 上に公開されている3,4)。なお,約140コ ピーの連続し r e t I,出 芽酵母ゲノムプロジェクト たくり返し配列として存在するrDNA遺 伝子領域 と, n ee C いくつかの小さなくり返し配列領域の配列は現在のと s a b 酵母は日本酒,ビ ール,ワ インの生産など醸造業 ・ ころ決定されておらず,出 芽酵母の全ゲノム配列は a t a 食品業界で広く利用されている有用微生物である。ま 13,389kbと 推定されている(表1参 照)。 また,シ ー D た,生化学研究の材料 として古くから用いられてきた。 クエンスの精度は99.98%以 上が目標とされており,そ しかし,現 在のバイオサイエンスのなかでは真核生物 れを満足していないと考えられる領域については再チ のモデル生物という役割が最も重要であろう。単細胞 ェックも計画されているという。 生物とはいえ,高 等動