生物物理化学2.DOC

分子神経生物学/分子神経生理学基礎 化学ポテンシャル、電気化学ポテンシャル いま簡単にするために、細胞膜は完全な半透膜とし（水分子は通すが溶質分子は通さない）、 内部には１種類の溶質が mole入っているものとする。 半透膜である細胞膜は、その内側と外側から浸透圧で「押されている」状態にある。等張液の中では、両側の圧力は等しいが、液体の濃度が変われば圧力差による力が発生し、それにより仕事がなされることになる。 等張液（濃度）中での細胞の体積をとし、低張液（濃度）に移され、細胞が膨らんでいく場合を考える。大きくなった後の細胞の体積をとする。また、この過程で浸透圧はからまで変化する。 　、　 （１） 　、　 （２） この変化の過程での仕事（）、その微小変化分を（）とすると、 （３） ここでは細胞の膨張により膜が移動した微小距離、または細胞膜全体にかかる力であり、圧力（）と細胞膜の総面積（）の積である（圧力は単位面積あたりにかかる力）。 したがって、は、 （４） となる、これを微分形で書くと、 （５） となる。体積の関数である濃度（=n/V）の微分が、 （６） となることから、 （７） が得られる。したがって仕事量は、これを（濃度）から（濃度）までの定積分となり （８） と求められる。 これは、 moleの溶質分子の濃度がからまで変化する過程で（外部に与えることで細胞内の溶質が）失ったエネルギーに等しい。 すなわち、同じ量（モル数）の分子でも、濃度が高い方がより多くのエネルギーを持っていることを示している。 ここで考えてきた溶液の持つエネルギーとは、濃度が変化する過程で細胞がすることのできる仕事の最大値を表しているといえる。式（８）は、細胞が膨らむときなにも邪魔するものがない、全くの理想的な状態を想定して導かれたものである。しかし、実際は、細胞膜が動くことにより周りの水分子と摩擦が生じるし、膜を構成する分子間の相互作用にもエネルギーが消費されてしまう。 すなわち、細胞が膨らんでいく過程でこれらの余分なエネルギーの消費が起こり、その分だけ、外部へなされる仕事量が減ることになる。このような『ロス』がいっさい起こらない理想的な状態ですることができる最大の仕事量（エネルギー）のことを、自由エネルギー（）と呼んでいる。 従って式（８）は （９） とあらわされ、 moleの溶質分子が２つの状態（濃度と濃度）で持つ自由エネルギーの差を表している。 式（９）をで割った　　は化学ポテンシャル（）とよばれ、１moleの溶質分子が持つ自由エネルギーを表している。 （１０） 式（１０）から　：　のグラフは傾きがRTの直線であることがわかる。 切片を　　とすると、任意の濃度におけるが定義される。 （１１） は標準化学ポテンシャルと呼ばれ、ある溶質１Mが持つ化学ポテンシャルを表している。 電荷を持つ溶質の場合 電気化学ポテンシャル () （１２） Z:電荷、　F：ファラデー定数（）、　E:電位（） カリウムイオンの平行電位 　　 カリウムイオンの電気化学ポテンシャルは 　　 細胞内） 　（１３） 　　　　 細胞外）　 （１４） カリウムイオンは自由に膜を通過し、最終的には平衡に達する。 このとき、 　　　　 （１５） 　　すなわち、 　　　（１６） （１７） (Nernst の式) （１８） 　（mV）（２０）　（１９） 能動輸送： 受動輸送： 1 Ko Ki Δx １ ２ ３ V2 C2 C2 C2 C2 V1 C１