肉芽肿性疾患.pdf

真皮の疾患／ D．肉芽腫性疾患　　323 病理所見 真皮上層に変性した弾性線維の蓄積を認め，その上方にある 表皮が異常線維を巻き込むように真皮内へ増殖している像が認 められる．表皮肥厚や真皮での異物肉芽腫も観察される． 2．反応性穿孔性膠原線維症　 reactive perforating collagenosis 体幹や四肢に，角栓を伴う直径 1 cm 程度の硬い茶褐色結節 が多発する．外傷などを契機として膠原線維が変性し，経表皮 性排泄をきたしたものである．糖尿病や腎不全を背景に生じや ケブネル すく，瘙痒が強い．Köbner 現象陽性になることがある． 3．結節性耳輪軟骨皮膚炎　 chondrodermatitis nodularis helicis 同義語：慢性結節性耳輪軟骨皮膚炎（chondrodermatitis nodu- laris chronica helicis） 耳輪（とくに上部）に 1 cm 大程度の有痛性の角化性結節が 生じる（図 18.13）．日光，外傷，寒冷などの外的刺激によっ て耳輪軟骨と膠原線維に変性と炎症が生じ，膠原線維の経表皮 的排泄をきたしたものである．中年以降の男性に好発し，脂漏 性角化症，基底細胞癌，有棘細胞癌などとの鑑別を要する．治 図 18.13　結節性耳輪軟骨皮膚炎（chondrodermati- tis nodularis helicis） 療はステロイドの外用および局所注射，外科的切除を行う． 有痛性結節． 18 に く げ D．肉芽腫性疾患　granulomatous disorder 1．サルコイドーシス　sarcoidosis ● 原因不明の全身性肉芽腫． ● 皮膚病変は特異疹（肉芽腫病変）と，反応性の非特異疹（結 節性紅斑などの炎症病変）に大別される． サルコイドーシスと ● 両側肺門リンパ節腫脹（bilateral hilar lymphadenopathy； 結節性紅斑 サルコイドーシスの患者では反応性の脂肪組織の BHL），ぶどう膜炎など． 炎症として，結節性紅斑が生じることがある．一 ● 血清 ACE 活性高値，高カルシウム血症，ツベルクリン反応 方，サルコイドーシスでは下腿伸側を好発部位と して皮下脂肪組織に肉芽腫を形成することもあ 陰性． る．このサルコイドーシスの特異疹は，臨床上は ● 治療はステロイド外用，内服など． 結節性紅斑と区別できず，これをサルコイドーシ スの結節性紅斑様皮疹と呼ぶ． 324　　18 章　真皮，皮下脂肪組織の疾患 定義・疫学・病因 サルコイドーシスは，多臓器に出現する原因不明の肉芽腫を 伴う炎症性疾患で，病理組織学的に類上皮細胞肉芽腫を特徴と する．20