条径硬度-J-Stage.PDF

桑の條長、條径、硬度、比重及含水量の品種別比較 岡 部 康 之 (昭和9年7月28日 受理) 緒 言 桑の條徑、硬度に關しては著者襲に調査報告せるものあり。又比重に就て は吉村氏、遠藤今村兩氏、及鈴木氏の調査されたるものあるも、同一供試條 に試て條長、條徑、硬度(立木硬度)、比重(成 形比重)及 含水量に於て桑の 品種別に如何なる差異ありや,相 互相關聯して調査せるもの無きを以て、大 中小三部別に等しき枝條基部の條徑を有する枝條に就て測りたる調査成績を 此處に報告せんとす。 材 料 及 方 法 供試條は埼玉縣蠶業試験場根刈奉式仕立品種比較桑園より、枝條基部周園 に依り下記の如く三部別して各10本 宛採取各本別に調査して平均せり。 大、周園3.6-3.9糎 中、周園2.7-3.0 小、周園1.8-2.1 立木硬度の測定は著者が考案せる立木硬度計に依り枝條の中央部を測定せ り。即ち硬度の單位は次の如し 『断面5平 方粍の圓柱を供試條の樹皮面に垂直に髄部に向つて、壓入する 時、髄部に到達する迄の最高の抵抗が荷重1肝 に相當する時立木硬度1度 とす。』 成形比重の測定は枝條の中央部より5糎 の所に於て載り取り10糎の管とな し、其兩端を小刀にて切り直し滑面となしたる後、下記方法に依り算定せり。 天秤の一方、供試物直下に水を盛れる容器を置き、其水中に於ける重さx 日本蠶絲學雑誌第五巻第三號1934 214 瓦の錘を附して水中に於て供試物の重さを測定し其重量y瓦 を求む。此時 (y-x)瓦 は水中に於ける桑條の重さなり。供試條を室氣中にて測定せる重 量m瓦 を得ば、水中に於ける桑條の失重はm-(y-x)瓦 なり。而してt℃ の水温に於ける桑條の成形比重sを 下式に依り算出せり。 m/ S= ×t℃ の水の比重 m+x-y 水分%の 測定は硬度及比重を測定せる10糎 の枝條を100℃ にて乾燥し生 量に封する百分率を以て水分%を 表示する方法を採れり。 供試條採取桑園は、沖積層砂質壌土にしてA調 査は昭和3年4月 栽植せ る35品 種に就き、B調 査は昭和7年4月 栽植せる12品 類に就き昭和7、 8兩 年各々12月 中調査せるものなり。 調 査 成 績 第1表　 A調 査(2ケ 年平均) 215 第2表　B調 査(2ケ 年平均) 216 前調査結果を條長、直徑、硬度、比重、及水分各別に其の順位(數 値の大 なるものよりの)を 示せば次表の如し。()内 は最大最小の數値を示す。 第3表　 A調 査 217 第4表　 B調 査 大中小に於ける條長、直徑、硬度、比重及水分%の 比較次表の如し。 第5表 218 總 括 1.　枝條基部周圍の等しき枝條に就て比較せる其の枝條の條長、中部直徑、 中部に於ける立木硬度、中央部に於ける10糎 供