中学校第1学年国语科学习指导案-佐贺県教育センター.pdf

中学校第１学年 国語科学習指導案 日 時 平成 2 6年 10 月 16 日(木 ) 第 ２校 時 指導者 佐賀県教育センター所員 Ｔ１ 原田 聡子 Ｔ２ 藤瀬 裕子 単元名 〔文学的な文章〕日本の名作を読み味わう 教材名 「トロッコ」芥川龍之介(東京書籍 中学校１年) １ 単元について (1) 生徒観 佐賀県の中学生の実態として，平成26 年度佐賀県小 ・中学校学習状況調査の結果から，中学１年 生の 「読むこと」の領域においては，おおむね達成をやや上回ってはいるものの，文学的な文章に おいては，人物の相互関係について捉えたり，描写の工夫を捉えたりすることに課題があることが 分かった。 本学級の生徒は，これまでに文学的な文章の学習において，小学校高学年で 「登場人物の相互関 係や心情，場面についての描写をとらえ，優れた叙述について自分の考えをまとめる」こと，中学 校１年生で 「場面の様子や登場人物の思いに注意して読む」ことを学習している。 また，中学生の読書状況は，全国学校図書館協議会が行っている読書調査によると，１か月に読 む本の冊数の平均は4.1冊である。「どんな本を読むか」との質問には，趣味・娯楽に関するものと 答えた者が一番多く，次に多かったのは小説であった。小説は，最近話題のものや映画の原作にな っているものなどが多く，名作を読む生徒はわずかであるのが現状である。 (2) 教材観 本単元は，「読書への招待」として，〔読書３〕中学校１年生で学ぶ３回目の読書に関する学習で ある。〔読書１〕〔読書２〕の指導事項は 「読書と情報活用」であったが，〔読書３〕は読み味わうの に適する文学的な文章であるため 「文章の解釈」及び 「自分の考えの形成」を指導事項とした。 また，中学校３年間における 「日本の名作を読む」学習の第１段階に位置付くことより，言語活動 を，視点に沿って文章を読み，その上で主人公に思いを寄せる内容とした。 「トロッコ」は，芥川龍之介の作品で，生徒と同年代の少年が主人公である。主人公の揺れ動く 心情が，情景描写や語句 ・語彙を通して巧みに表現され，それらを手掛かりに主人公の心情を捉え たり，表現の効果を考えたりするのに適している。やや難しい語句もあるが，想像を巡らせたり友 達と感想を交わしたりすることで，読む楽しさが味わえる作品である。 (3) 指導観 指導に当たっては，以下の２点をポイントとしたい。 ○文学作品に触れることで読書の楽しさを味わわせ，今後の読書生活へとつながる授業 今回は，視点に沿って文学作品を読んだり，主人公に思いを寄せて読んだりすることで，読書の楽し さを味わわせ，今後の読書生活につなげることをねらう。場面ごとに切り取って読むのではなく，読む視点 を「五感で読む」と「語句・語彙で読む」と設定し，切り口を変えて山場を繰り返し読む。また，山場に至る 伏線，時を隔てての構成にも着目し，作品を味わわせる。情景描写や語句・語彙の中に込められた主人 公の気持ちを丁寧に読み，主人公にどんな言葉をかけるかを考えさせることで，文学作品を読む楽しさを 味わわせ，今後の読書生活へとつなげていきたい。 ○小中の系統性を意識した授業 - 1 - 学習内容を説明する際に，既習の文学的な文章を用いて説明することで生徒の理解を助けるこ とをねらう。また，生徒自身が文学的な文章における小中の学びの系統性を感じながら学習する ことで，理解が深まることを期待する。 今回は，小学校での以下の学習材(全て東京書籍)を用いる。 説明したい内容 小学校の学習材 学年