広东省汽车产业(日文).pdfVIP

2006 年 7 月 6 日発行 広東省の自動車産業 本誌に関するお問い合わせは みずほ総合研究所株式会社 香港駐在 電話（852）2103-3590まで。 要旨 1. かつて広東省は、「自動車産業不毛の地」とされてきた。1985 年に、仏プジョーは広 州汽車グループの前身企業との合弁で広州標致を設立したが、生産車種が旧式であっ たことや、広州汽車グループの販売力が弱かったことなどを背景に販売不振に陥り、 やがて撤退に追い込まれた。 2. 広州汽車グループは新たな合弁相手を模索し、ＧＭなど様々な候補が浮上したが、最 終的にホンダとの合弁に至り、98 年に広州本田が設立された。ホンダは最新型のアコ ードを投入して販売を伸ばし、急速に事業を拡大してきた。 もともと巨大な自動車内販市場と比較的優れた投資環境を有していた広東省は、広州 本田の成功を契機として、広州市を中心に自動車産業の一大集積地として発展するこ ととなった。 3. 広州市における主たる合弁自動車メーカーは、先述の広州本田、日産と東風汽車グル ープとの合弁による東風日産、トヨタと広州汽車グループとの合弁による広州豊田で ある。著しい成長を遂げた広州本田はすでに広東省を代表する主要企業となっており、 これに続く東風日産も事業を拡大してきている。また、広州豊田は2006 年に生産を開 始した。 これら３社の設立・生産開始とともに、多数の日系部品メーカーも集積するようにな り、現在では主要な一次サプライヤーはほぼ出揃った感がある。 4. 従来広東省は、深圳市・東莞市を中心とする、労働集約型・輸出主導型の電子機械・ 事務機械の生産拠点として知られてきた。しかし、人件費の上昇により労働集約型産 業の限界が指摘され始めるなか、今後は広州市を中心とする資本集約型・内需主導型 の自動車産業が、電子機械・事務機械と並んで広東省経済を牽引する主力産業に成長 すると見込まれる。 広東省における完成車メーカーの増産意欲は強く、部品メーカーの既存生産設備の増 設や新規進出の動きも続くとみられることから、広東省への日本の自動車関連産業の 直接投資は当面堅調に推移する可能性が高い。 5. 広東省における自動車産業が全体として順調に発展していることは間違いない。一方 で、自動車メーカー間の競争が今後一層激化することは必至の情勢である。欧米系メ ーカーの動きもあり、先行きに不透明感が強まる可能性もある。従来から広州本田が 得意とし、また、日産、トヨタなども本格的に参入する中高級車の主要市場として、 広東省は激戦区ともなろう。日系完成車メーカーをはじめ自動車産業関連企業が揃っ て高成長を継続できるか、予断を許さない情勢になってきたかもしれない。 （アジア調査部香港駐在 稲垣博史 hiroshi.inagaki@） 目次 １.はじめに····································································································· 1 ２. 「自動車産業不毛の地」広東省······································································· 2 (1) プジョーの進出と撤退················································································ 2 (2) 80 年代後半～90 年代前半の広東省は自動車産業の立地に不向きだったか ··········· 3 (3) なぜプジ