夜间街路-日本大学生産工学部.PDFVIP

ISSN 2186-5647 −日本大学生産工学部第45回学術講演会講演概要（2012-12-1）− 5-1 夜間街路の光環境が歩行者の経路選択に及ぼす影響に関する研究 ―月島を対象とした街路の「入りやすさ」の評価 日大生産工(院 ) ○土屋　舞子 日大生産工 岩田　伸一郎 1.　はじめに 1.2 既往研究と本研究の位置づけ 1.1 研究の目的と背景 　夜間街路の光環境に関する研究には、大きく 　本研究は、観光地で来訪者が街を散策する場 分けて光環境を「明視性」3) の機能を扱った研 面において、夜間街路の光環境が来訪者の歩行 究と、「心理的効果」を扱った研究がある。本 経路の選択にどのような影響を及ぼすのか知る 研究は街路の印象が光環境が心理的評価へ与え ことを目的としている。このような研究課題を る影響が歩行者の経路選択に与える影響をみる 設定したのは、主に次の二つの理由による。 ことを目的としているので、前者に分類される 　一つ目は、土地に対する知識・経験の少ない といえる。 来訪者が街を散策する場合、来訪者は目の前に 　街路の印象を扱った研究では、張らは飲食店 現れる街路に対してその通りに進むかどうか次 の外観デザインと「入りやすさ」の関係につい の経路の選択を瞬間的な街路の印象に頼って判 て昼夜で変わる照明の影響も考慮した評価構造 断せざるを得ない状況であることが多いと考え の検討を行い、様々な評価項目の中でも照明が たからである。住民の生活圏と来訪者の散策圏 与える印象が「入りやすさ」の基準となってい が混在する観光地において快適な街づくりをす ると述べている。小林らは、観光地の夜間街路 るためには、商店のある通りに来訪者を誘導す において建物に付属する光が歩行者に与える印 ることで街を活気づけたり、一方で来訪者の往 象について、住民と観光客の双方に対して調査 来の多い地域でも住民が安心して生活できるよ を行っている。 う観光動線を生活圏から遠ざけたり、というよ 街路形状を扱った研究や歩行者の事前知識の うに街全体で歩行者の動線制御を検討する必要 有無を扱った研究が多いが（後でちゃんと調 があるといえる。 べて列挙します）、夜間の光環境との関係に着 　二つ目は、街路環境を部分的に操作すること 目した研究はまだない。 で来訪者の動線を制をすると仮定した場合、道 2.　研究の概要 幅や建物や街路の形状または素材や色などを操 2.1 対象地区の選定条件 作するよりも街路や周囲の建物に対して付属的 　選定条件は次の通りである。①住居地区と商 な関係である光環境を操作する方が現実的であ 業地区が隣接し、住人と来訪者の双方の往来が ると考えた為である。光環境ついては、夜間歩 ある街路であること、②街路の形状が複雑では 行者の印象に影響を与えやすい要素として挙げ なく単純な格子状で形成されていること、③光 られ、その心理的影響を検討する必要性を述べ 源の種類や街路の明るさが一様ではなく街路の 1)2) た研究もいくつか報告されている 。 光環境が多様であることとした。②については、 　以上のことから、観光