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Titleシンガポールの医療政策 : 国家主導型政策の成功 Author(s)田尾, 雅夫; 草野, 千秋; 深見, 真希 Citation京都大学大学院経済学研究科Working Paper(J-62) Issue Date2006-12 URL /2433/65634 Rights Type Research Paper Textversionauthor Kyoto University 京都大学大学院経済学研究科 Working Paper Ｊ－６２ シンガポールの医療政策 ― 国家主導型政策の成功 ― 京都大学大学院経済学研究科 教授 田尾雅夫 博士後期課程 草野千秋 博士後期課程 深見真希 ２００６年１２月 1 １．はじめに シンガポールは、東南アジアのほぼ中心に位置し、NEIS の一つとして、その驚異的な経 済発展を遂げた国家である。２００１年にはこれまでで最大の不況におちいり、一時は低 迷した時期もあるが、かつての勢いを、今は取り戻しつつある。政治的には自由主義的な 仕組みを堅持はするが、その運営には相当程度、医療も含めて国家が介入している。 人口は４３５万人、居住者のみでは３５５万人である。６５歳以上の高齢者の比率は８％ であり、わが国の規準でいえば高齢化社会であり、しかもその緒についたばかりである。 国土は６９７．１平方キロメートル（2003 年現在）、国土拡張による埋めたてが行なわれて いるため、毎年少ずつ大きくなっている。 表１ 人口統計(1) 人口 (2005.11.2） 総人口 4,351,400 人 居住者人口 3,553,500 人 人口比率 (2004) 0～14 歳 20.1% 15～64 歳 71.9% 65 歳以上 8% 出所：Population Trends 2005 基本的に都市国家である。一つの島が一つの国家をなしている。北部には多少の原生林 （一部は植物園）を残しながらもほぼ完全に都市化されている。景観をいえば、アパート 群が林立しながらも緑地を多く残し、自然環境との調和が図られ、別名「クリーン＆グリ ーン・シティ」あるいは「ガーデン・シティ」といわれている（ただし、下水事情はよい ということではあるが、中心部の河川はやはり汚れている）。 チャンギ空港が東南アジアのハブ空港として重要な位置を占めていることでも明らかな ように、ビジネスが社会の中心にすえられている。なお、食料などは生鮮食料などを、マ レーから移入している。なおマレーとの行き来は自由であるが、感情的にはすれ違いのよ うなものがある（これは政治的には非常に重要であるが、当面の問題ではない。ただし、 マレーを象徴するタイガーに対して、シンガポールはライオンを象徴として用いる。国家 意識の高揚を考えれば、非常に微妙な問題ではある）。シンガポールが観光都市としての美 しさ