労働安全卫生部労働卫生课编.PDFVIP

労働省安全衛生部労働衛生課編 1る 2．じん肺のエックス線写真像と病理所見との関連 じん肺の胸部エックス線写真像ほ，じん肺の肺内病変を投影したものであり，エックス線写真 に表現されている異常陰影とその原因となる病理学的変化との関連は，じん肺の病像を理解する ′ 上で有用である。 以下，じん肺のエックス線写真像と病理所見との関連について，けい肺，石綿臥 その他のじ ん肺別に概説する。 （1）け い 肺 イ．粒状影 けい酸粉じんは，他の粉じんに比べて気管支周囲の問質に移行しやすく，所属リンパ腺の変化 ほ最も強い。問質変化が進行し強い線維化が起こると，けい肺に特徴的な3～10mmの粒状影が エックス線写真に現われてくる。けい肺の初期にほ粒状影が明らかに認められないが，これほ， 粉じん巣が大部分1・5mm以下で，かつ，経絡化が進行していないためである。また，粒状影 ほ，通常，中～下肺野に初めて認められることが多いが，この時期でも肺の後上部の粉じん巣の 密度は高い。 粒状影ほ，粉じん巣が大きく，線維化が強いほど明確なものとして認められる。 口．大 陰 影 左右とも後上部（右S3，S2，S6，左S3，Sl＋2，S6等）に結節が融合することによって生じる。融 合ほ，結節内細気管支の閉塞によって生じる局所的無気肺による結節の接近，無気肺部の線維化 等によると考えられる。塊状巣内に取り込まれた気管支の狭窄はブラ形成の主因となる。通常， 塊状巣を形成した際にみられる胸挨の肥厚・癒着ほ後外上部に起こり前上部にまでほ及ばない。 （2）石 綿 肺 イ．不整形陰影 石綿肺における線状影を主体とする不整形陰影は，長い石綿粉じんによる細気管支～肺胞の変 化を表現したものであり，陰影の重なりによって少数の粒状影が現われることがあっても，これ は，肺内に結節性の変化があることを意味しない。 病理学的には，細気管支粘膜が肥厚し，粘膜下組織に次第に細胞増殖，線維増殖，平滑筋増殖 をみるようになる。 Ⅰ じん肺の病像 17 線状影を主体とする不整形陰影は，これらの変化が重なり合ったものである。細気管支炎が進 行すると，無気肺，細気管支拡張が起こる。このため，細網状，網状の像が加わり，更に進行す ると，蜂窟状影を呈するようになる。 ロ．大陰影 細気管支～肺胞の変化が進展した結果大陰影にまでなることは殆んどない。下肺野に大陰影様 の陰影が認められることがあるが，これほ胸挨肥厚，無気肺，不整形陰影の重なりによると考え られる。 ハ．胸膜の変化 肺野の変化が明らかでないときでも，胸膜に肥厚，石灰化が現われ，時間とともに進行する。 これは，石綿粉じんの胸膜への到達によって形成されるものと考えられる。 （3）その他のじん肺 このじん肺に属するものは，非典型けい肺（低濃度飢、酸けい肺），炭素系じん肺（炭素肺，炭鉱夫 じん肺，黒鉛肺，活性炭肺等），けい敢塩肺（滑石肺，ろう石肺，ペソトナイト肺，けい覆土肺等），金属肺 （溶接工肺，鉄肺，アルミニウム肺，アルミナ肺等）等のじん肺であり，これらほ線維化が弱く，結節 が小さいじん肺である。 イ．粒状影 これらのじん肺では，肺胞内に粉じんが貯溜し，1．0～1．5mmの大きさの小結節が形成され る。炭鉱夫じん肺では，粉じん巣周辺に局所肺気踵が高頻度に発生するといわれている。 吸入粉じん量が増加すれは塊状巣にまでなる例もあるが，多くの例では，小結節密在のままで 局所肺気腫が広汎に起こり，細気管支変化も加わる。 粒状影ほ，線維化が弱いために濃度の低い極めて小さな陰影である。 口．不整形陰形 密在する小結節の陰影が重なり合うと容易に粒状影としては認められないことがある。密在す る小結節により細い血管影がみえにくくなり，肺野に粒状と認めることが困難な濃度の低い陰影 が重なって，不整形陰影を形成する。 ハ．大陰影 吸入粉じん量が増加すると，肺胞に粉じんが充満し塊状巣を形成する。胸膜癒着を伴うものも ある。塊状巣内に非結核性，非炎症性の組織壊死による空洞が生じることも少なくない。このよ うな例としては，滑石肺，ろう右肺，硫化鉄肺，黒鉛肺がある。