三井金属ー経営支ERP.pdf

三井金属のグループ経営を支えるERP 三井 一夫 三井金属はグループ55社が，一つのSAP R／3システムを共同利用している．初期導入開始から丸5年が経過した． この間，アップグレード，新規モジュール追加，海外子会社への展開など，活用度アップのための施策とグループ経営 支援のための月次連結会計をSAP R／3で実現してきた．目まぐるしく変わる経営環境や事業環境，この変化に対して しっかりと受け止められる基幹システムの構築が非常に重要だと考えている．“経営に役立つシステムの実現’’これが 私たちのSAP R／3の導入基本スタンスである． キーワード：グループ経営，ERPパッケージ，管理連結 …………ll……………l……………l∥＝州∥∥州＝llll……l刷∥ll∥＝∥∥∥∥∥∥＝∥∥∥＝∥∥＝∥∥∥＝∥∥∥＝∥∥∥∥∥∥∥∥∥＝∥∥∥∥∥∥∥＝∥∥∥∥∥∥＝∥∥∥∥∥∥＝∥∥∥∥∥∥＝∥∥＝∥∥∥＝∥∥∥∥∥∥＝∥∥＝∥∥＝∥∥＝＝∥∥∥∥∥∥∥∥∥＝∥∥＝∥∥＝∥川∥∥ 三井金属も例外でなく，約30年間の中でも数度に 1．はじめに わたる非常に厳しい合理化と事業の多角化を行ってき 今回三井金属グループでのR／3導入事例を紹介す た．新規事業，新規分野への進出は数え切れないほど るが，非鉄金属業界がもつ背景，そして三井金属経営 多くのものにトライしたが，その大半は泡沫と消えて トップがもつ経営理念がその成否を左右してきたこと いってしまった．しかし私どもがこの苦い経験から得 をはじめに強く訴えたい． た結論は，自分たちの強みを徹底して生かし，その強 三井金属はその金属という名が示すとお－），亜鉛・ みをさらに強くするための経営の選択と集中である∴ 鉛・銅に代表される非鉄金属を中心に，明治以降の新 すなわちベースメタルとそれらを中心とする川下の素 しい日本の近代化や太平洋戦争後の日本の復興に，少 材メーカという位置づけを明確にし，その事業領域を なからずとも貢献してきた．現在三井金属グループは 広げてきた．その事業領域の広さが現在のグループの 連結売上高約4，000億円，従業員数約1万人，そして 活力を支えているといえる．現在グループ全体の事業 関連子会社数的60社の陣容となっている．このうち は，大きく次の四つのカテゴリーに分類できる． 海外子会社は孫会社も含めると20社を超える数があ ①電子材料事業分野 り，今後さらに海外生産拠点が増える傾向にある． ②機能部品事業分野 現在の事業は非常に多岐にわたっているが，その基 ③資源開発，鉱山・精錬・環境事業分野 はやはり鉱山，製錬業であり，それから生み出される ④関連事業分野． 亜鉛・鉛・鋼などのベースメタルが原点である． 現在の三井金属の主要事業は，IT産業の重要素材 非鉄金属産業は，国内においてはその有数な国内鉱 山資源も枯渇し，現在原料の大半は南米，カナダ，オ ing）テープ回路基盤，銅粉・亜鉛粉等各種金属粉， ーストラリア等の海外鉱山に依存している． スパッタリングターゲット材料，電池材料，レアメタ 一方で商品であるベースメタルの価格はLME（ロ ル・レアアース等や，自動車のドアロックシステム， ンドン金物取引所）の相場に大きく左右されると同時 各種組み立て部品，ダイカスト部品等に大きく変わっ に為替レートにも大きく影響を受け，経営そのものが