刃部磨制石斧-全国遗迹报告总覧.pdf

鴨子台遺跡 最後に、本遺跡第 I群石器も含めた旧石器時代後半~終末における石器製作上の技術的様相 について付言したい。藤原氏の「技術基盤Jの変化を段階区分の指標とする見方は、東北地方 におけるナイフ形石器群後半期の資料が将来にわたって追加されるであろう現在、その大枠の 見通しを立てうる点で有効性を保つものと考える。本遺跡第豆群石器が関連する藤原編年E群 期の細Jj jlは、小出IV遺跡などの追加資料や米ヶ森遺跡の再検討を通じてより整備されるであろ う。そしてこの立群期以降、すなわち細石刃石器群へ変化は、例えば小出[\T遺跡の接合資料が その可能性を示すように三副本のき引!片華Jl欝技衡が整数の翠種の月的事!片を生墜するミ体率的 な技術的複合化への道程にあるといえるのではないだろうか。本遺跡第百群石器はその前段階 (註42) に、そして第 I群石器はその完成された時期に位置づけられるのではなし、かと考える。 第2節 縄文時代の遺物(刃部磨製石斧)について M153グリッドで出土した刃部磨製石斧は、!日石器時代から縄文時代にかけての移行期に特 (註43) (註44) 徴的な「神子柴型石斧JであるO 東北北部での類例としては青森県大平山元 I遺跡、岩手県湯 (註45) (註46) (註47) ノ沢遺跡、同持川遺跡、秋田県心像小学校遺跡などの例がある。 このうち、持川遺跡、心像小 学校遺跡例は形態的には本遺跡例と近いものの、刃部の磨きがな~)o また、大平LlI 元 I 遺跡例、 湯ノ沢遺跡例は刃部端が膨らみ基部が円くなるなどの点で本遺跡例との形態的な差異が大きい。 「神子柴型石斧」としてはやや薄手に傾くこと、両側縁が緩く曲線を描いて尖基に収束するこ と、刃部と側縁の間に僅かな角をもつこと、剥j離面の中にまで磨きが及ぶこと等、刃部を含め た全体の形状はこれら東北北部のものよりは、むしろ富山県野沢遺跡ゃ宮城県戸谷沢通説の例 に近い。 本遺跡の例は単独の出土例であり、土器あるいは他の剥片石器類をともなっておらず、その 編年的位置の決定も形態上の特徴にまかせる他はなし)0 I日石時代から縄文時代草創期にいたる 移行期に対して与えられた跡東三氏の僻骨子没者久保→神子柴→織品に照らせば、 おそらく、神子柴(大平山元 Iに後続)よりは後の、鳴鹿山鹿遺跡例の前後の縄文時代草倉Ij期 初頭におかれるであろう。また、当該時期の石斧を円撃型の「長者久保類型ム器体半分が磨 t註 51) かれる「神子柴類型」と分け、それぞれの系譜を追った中束耕志氏の論考では戸谷沢遺跡例を もって縄文時代草創期初頭の第2段階においているO 編年の細部にわたっては未だ不確定な部 分も多いが、本遺跡例もおそらく上記二氏のいう縄文時代草創期の早い時期の所産ではなし可か (註52) と考える。 246- 第32Z まとめ C1)この種の掻器の類研]1は県内では米ヶ森遺跡の報告中、ヱンド e スクレイパ-1類とされたなかにも 例ある cr報告書J第29図 4)。 協和町教育委員会 F米ヶ森遺跡発掘調査報告書j 1977C昭和52年) C2)宇野修平@上野秀一 「角二山遺跡Jr日本の!日石器文化j 21975C昭和50年) ( 3)桜井美枝 f細石刃石器群の技術構造一山形県角二山遺跡の分t庁 u東北文化論のための先史学暦史 学論集』加藤稔先生還暦記念会編 1992(平成4年〕 湧別技法が首IJ片のみならず、両面調整石器製作時の斜片ーまでも「石器素材の供給」として組み込んだ技 術であることの確認は、近年の当該イプ器群の調査 e研究の大きな成果であるO 桜井氏が掃いた角二山遺跡 での第 l次開!片と二次加工ある剥片の接合例のほか、新潟県荒屋遺跡での細石刃核と荒屋型彫