大江桂成-仙台立病院.pdfVIP

仙台市立病院医誌　17，37－4〔，、ユ997 索引用語 骨斑紋症 　骨生検 大腿骨頭 大腿骨頭のcore　biopsyをおこなった 骨斑紋症の1例 関谷元彦，安倍吉則，高橋　新 渡辺　茂，大江桂成，門馬弘晶 　単純X線像：骨盤，上腕骨，肩甲骨，大腿骨，脛 はじめに 骨の骨端から骨幹端部を中心に円形～楕円形で， 　骨斑紋症はX線像で散在性，斑点状の骨硬化陰 直径2～8mmの散在性，斑点状の骨硬化陰影を 影を示すまれな疾患で，これまで臨床像の報告は 認めた（図1）。 散見するが組織学的に検討された報告は少ない。 　骨シンチグラム：恥骨結合部から右恥骨部に高 最近，われわれは，骨盤部の外傷を契機に偶然発 集積を認めたが，これは骨折の修復機転によるも のと思われた。そのほかの部位には異常集積はみ 見され，病変大腿骨頭のcore　biopsyをおこない 得た症例を経験した。この論文では，そのX線像 られなかった（図2）。 と組織像の詳細について述べ，本症の病態につい 　手術：脊椎麻酔下に，東北大式骨生検器をもち て考察する。 い，大腿骨転子部から骨頭にかけて直径8mmの core　biopsyをおこなった。 症 例 　組織学的所見：肉眼的に骨頭軟骨直下から骨 　患者：18歳，男性。 頭，頚部，転子部にかけて直径2～4mmの多発 　家族歴：特記すべきことはない。（事情により家 性，灰白色の斑点状硬化骨がみられた（図3）。光 族に対してのX線検査は行うことはできなかっ 学顕微鏡下に弱拡大でみると，斑点状硬化骨部の た。） 骨梁は塊状に肥厚していて，その周囲の骨梁幅も 　既往歴：特記すべきことはない。 やや太くなっていた（図4）。中拡大像では，塊状 硬化骨は多くの添加骨からなり（図5），この硬化 　現病歴：1995年4月3日，バイク走行中に乗用 車と衝突して受傷した。当院救急センターに搬送 骨の中央部には骨芽細胞を伴った結合織と幼若骨 され，全身のX線撮影をおこなったが，このとき が認められる（図6）。また，塊状硬化骨の辺縁部 のX線像で骨盤，両上腕骨頭に多数の斑点状の骨 硬化陰影像が認められた。転移性骨腫瘍，代謝性 履薮 》 　　 骨疾患などが考えられ，恥骨結合離開と左小指基 節骨骨折に対する加療の後，患者と相談のうえ，異 常なX線像の鑑別診断の目的で生検による精査 のため1995年12月25日，入院した。 　現症：痙痛などの自覚症状はなく，他覚的にも 異常所見は認められなかった。 ㌦舞パ 、 ＃ 　血液生化学的所見：アリカリフォスファター ゼ，カルシウム，リンは正常範囲で，ほかの生化