ー测定课题展望.pdfVIP

第２回 ソーシャルスキル測定についての課題と展望 第２回研究会 ソーシャルスキル測定についての課題と展望 相川充 （東京学芸大学教授） ２００５年６月３日 於 ：東京大学赤門総合研究棟 ２０３号室 要約 ソーシャルスキルの測定には，専門家による面接や行動観察，教師や級友による評定，本人による自己評定な どの方法があり，治療やトレーニングにつなげる目的で開発されたものが多い。現状の課題点としては，自己評 定尺度が多用されすぎていること，実際の行動や反応の測定がそのツールも含めて不足していることなどが挙げ られる。映像を利用したロールプレイなど実際の状況に近づけた測定方法の工夫は有効と思われるが，スコアリ ングなど実用性の面での課題克服が望まれる。また，ソーシャルスキルは行為を受け取る側から見ての効果性， 適切性が重要であり，それを踏まえた妥当性の高さを検証していくことも重要な課題である。 測定の方法には，それぞれ特長と欠点があるため，正確な測定と当人への有意義なフィードバックのために複 数の方法の特徴を踏まえて設計，活用することが必要である。 （本稿は講演内容および事後の質疑応答内容を事務局が要約的にまとめたものである。） のかについてお話します。３番目は，本日の話の中心であ る 「ソーシャルスキルの測り方」です。従来どのような方 法が行なわれてきたかを簡単に振り返りたいと思います。 発表の観点 それを受けて４番目に，従来の測定法における問題点や不 十分な点について，私の考えを述べたいと思います。そし 相川 ：本日は，次の６点に沿ってお話したいと思います。 て，５番目では， 「これからの測定法はこうだったらいい のになあ」と考えていることをお話します。 １ ソーシャルスキルという概念について 渡部先生からいただいたテーマには 「中等教育段階で ２ ソーシャルスキルのどの側面を測るのか の」とあったのですが，以上の１～５の話では， 「中等教 ３ ソーシャルスキルの測り方 育」という観点に全く触れておりません。そこで，最後の ４ 従来の測定法の問題点 ６番目に 「中等教育段階」という点について考えたいと思 ５ これからの測定法のあるべき姿 います。ただ，ここについては，私はこの研究会の関心の ６ 「中等教育段階でのインターパーソナル・スキルの 置かれ方がよく分かっていませんので，検討課題をあげる 測定」について のに留めるつもりです。 １つには，ソーシャルスキルという概念についてです。 当初， 「インターパーソナル・スキル」という講演テーマ をいただいたのですが，私としては 「ソーシャルスキル」 １ ソーシャルスキルという概念について という概念に置き換えてお話したいと思っていますので， その両概念の関連をまず知っていただきたいということ 早速ですが，ソーシャルスキルという概念について説明 です。 いたします。 ２番目からは測定の話に特化いたします。まず，ソーシ ソーシャルスキルを「簡単に言えばなんだろうか」とは， ャルスキルにはどのような側面があり，かつ測定が可能な