视覚障害论A-筑波技术短期大学视覚部-筑波技术大学.DOC

平成２４年度 筑波技術大学保健科学部 視 覚 障 害 学 概 論 障害者高等教育研究支援センター 基礎教育研究部 石田 久之 目次 第１章　キャリア 1 第２章　大学における視覚障害者 3 第３章　職場における視覚障害者 5 第４章　障害者のキャリア形成 11 第５章　労働法 15 第６章　障害者の雇用の促進等に関する法律 19 第７章　視覚の仕組み 21 第８章　視覚障害の分類と定義 25 第９章　国際生活機能分類 29 第１０章　視覚障害者の脳の可塑性 35 第１１章　ストレス下の心理 39 第１２章　言葉の発達と読み?書き 43 第１３章　コミュニケーション 47  第１章　キャリア 第１節　キャリアとは 　キャリアとは、社会との相互関係を保ちつつ、自己の生き方を中?長期的な観点でデザインし、実現していく過程。具体的には、生涯にわたる様々な立場（例えば、学生、職業人、退職者）や役割（子、親）及び活動（労働、家庭生活、余暇活動、資格取得）の連鎖。 第２節　キャリア教育とその内容 　「児童生徒一人一人のキャリア発達を支援し、それぞれにふさわしいキャリアを形成していくために必要な意欲?態度や能力を育てる教育」と捉え、「児童生徒一人一人の勤労観、職業観を育てる教育」と定義されている（文部科学省「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書」２００４）。 　文科省では、次に示す４領域８能力を想定している。 （１）　人間関係形成 ?自他の理解能力：自分は何者か、他者と何が同じか、違うか。 ?コミュニケーション能力：自他の理解に必要（必ずしも、良好な関係を作ることを意味しない）。 （２）　情報活用 ?情報収集?探索能力：様々な情報を収集する能力。WEB活用、探し方の理解。 ?職業理解能力：したいことをするためにはどんな職業が適切か。 （３）　将来設計 ?役割把握?認識能力：長期的な計画の各時点で、自分はどんな役割を果たそうとしているのか。 ?計画実行能力：自分の立てた計画を長期間にわたって実行できる能力があるか。 （４）　意思決定 ?選択能力：その時その時に、自分に最も適切な立場、役割、活動を選択する能力。 ?課題解決能力：その時点で最も適切な解答を得る能力。 第３節　どの様にキャリアをデザインするのか （１）　何のために大学で学ぶのか 　人との関わりの中で、教養と専門的な知識や技術を得て、生涯のキャリアをデザインするため。 （２）　何のために働くのか ?自己実現：自分の“生きる意味”としての労働。自己理解と目標にあった職種や仕事内容の理解が必要。 ?存在確認：周りから認められたい。名人と言われる鍼灸師になりたい。 ?社会貢献：人の役に立つ職業に就きたい。地球環境を良くしたい。誰がどのように困っているか、何を必要としているかという社会的ニーズの把握が必要。 ?生活維持：家族のためや趣味のため。無理なく人生を過ごしたい。仕事より優先するものがある。 （３）キャリア形成のために ?就労に様々な課題があることを意識 　社会における障害者への対応について、その一つの指標である障害者の実雇用率をみると、1.63%（平成21年6月、民間企業）と法定雇用率を満たしていない。これらについての正確な情報取得とそれによる障害学生の正確な認識が、キャリア形成の第一歩となる。 ※　「障害者の雇用の促進等に関する法律」 　障害者の雇用を促進するため、事業者に対し従業員数の一定比率 （障害者雇用率＝民間１．８％、国地方２．１％）を障害者とするように義務づける ?自己の能力を正確に把握 　物事を行う際に、自己の能力を正確に知ることは、極めて重要である。大学は、一つのステップであり、社会に向けての準備である。その中で、大学教育を受けるためのサポートと、社会自立に向けたトレーニングを、どのように両立させるかが問題となる。アルバイトやインターンシップの活用も重要である。 （４）努力で乗り越えられない壁 　ＮＨＫニュース「卵子の老化」 第２章　大学における視覚障害者 第１節　大学における視覚障害者数（Ｈ２３） （１）　障害学生総数　９，４０４人（高等教育機関全体では、１０，２３６人） （２）　視覚障害学生　６４９人（盲１３０人、弱視５１９人） （３）　支援を受けている視覚障害学生　５０３人（盲１２１人、弱視３８２人） 第２節　視覚障害学生への支援 （１）　教材の拡大（９８校で実施） （２）　試験時間延長?別室受験（９０） （３）　教室内座席配慮（８５） （４）　解答方法配慮（８３） （５）　実技?実習配慮（６４） （６）　教材のテキストデータ化（６３） （７）　点訳?墨訳（５４） （８）　パソコンの持ち込み使用許可（５２） （９）　読み上げソフト使用