敬语の体系について.docVIP

敬語の体系について はじめに 日本語文法の中に敬語という重要な部分がある。敬語は日本語の主な特徴として、膨大、複雑な文法体系とおびただしい表現形式を持つ以外、もっと、複雑なところもある。つまり、敬語の使い方は、時間?場所?場合?相手?人間関係などによって、違うので、敬語が正確に把握、運用されるのは、大変難しいと言われる。しかし、敬語は人間関係を円滑にする上で、たいへん重要な役割をもっている。場面に適した正しい敬語を使うことが出来れば、相手に良い印象を与える。逆に誤った使い方をするとたいへん失礼なことになる。また敬語は教養のバロメーターとも言われる。誤った使い方をすると相手に失礼だけでなく、教養がないと思われる恥をかく。だから、相手と自分を上下関係でとらえ、両者の年齢?職業?地位?性別?親しさの程度等によって、適切な言葉を選ぶことが必要である。まずは正しい敬語の基礎知識を身に付けることが大切である。 このレポートでは主に敬語についての概念、成立する条件と種類及びそれぞれの主な構成と使い方を述べてみたい。 1.敬語とは 敬語とは待遇表現の一種である。人間関係をスムーズに保つための言語的手段で、話し手と聞き手、及び話題になっている人物（またはその人に関する物、行為など）との間のさまざまな関係に基づいて、話し手(また書き手)が持っている判別を特に示す言語行動と言語形式ということである。言語形式の上で法則性をもつものをいう。 2.成立する条件と種類 敬語が成立するためには、すくなくとも、三つの要素が必要である。つまり、話し手?聞き手?話題の人物（またはその人に関する物、行為など）である。話し手と聞き手、話し手と話題の人物の間に、身分や地位の上下関係、ものを依頼したり、利益を受けたりする立場の強弱関係、あるいは、親疎の関係などがある場合に敬語が成立する。 敬語の種類はいままで、いろいろな説があるが。このレポートには敬語の成立する条件に見られる敬意の性質から次の分類をあげて述べたい。即ち、尊敬語?謙譲語?丁寧語?美化語の四つに分類することにしたい。 3.それぞれの主な構成形式と使い方 3.1尊敬語 尊敬語というのは相手や第三者の動作?状態その他に敬意を表す言い方である。 次は尊敬語動詞、名詞、代名詞の尊敬語及びほかのある品詞の尊敬語について述べてみたい。 3.1.1動詞の尊敬化する形式 3.1.1.1尊敬語動詞について （1）尊敬語動詞　　動詞のなかにその言葉自身が尊敬の意を含んでいることばである。 一般動詞 固有尊敬語動詞 一般動詞 固有尊敬語動詞 する なさる?あそばす くれる くださる 言う おっしゃる 食べる?飲む 召し上がる 思う 思し召す 着る 召す 来る いらっしゃる 見える?おいでる いる?行く いらっしゃる?おいでる 見る ご覧になる ○すみませんが、何になさいますか。 ○夏休みにどこかへご旅行あそばしましたか。 ○もう一遍おっしゃってくださいませんか。 ○そのことについてどう思し召すでしょうか。 ○どちらからいらっしゃいますか。 ○いつ、日本へおいでになりますか。 ○社長はもう見えました。 ○花卉展覧会にご覧になるつもりですか。 ○先生が辞書をくださいました。 ○あついうちに召し上がってください。 ○コートーを召してください。 3.1.1.2ほかの動詞の尊敬化する構成方法 (a)お＋動詞連用形＋になる／ご＋サ変動詞語幹＋になる　　これは現代語でもっとも標準的な形式である。 ○社長は昨日お帰りになりました。 ○先生、いま何をご研究になっていますか。 しかし、二つの仮名で組み立てられる一段動詞（「見る」、「寝る」など）と「する」はこの文型に合わないのに注意しなければならない。つまり、「お見になる」?「お寝になる」?「おしになる」のような形が成立できない。 (b)お＋動詞連用形＋くださる／ご＋サ変動詞語幹＋くださる　　これはよく「お＋動詞連用形＋ください／ご＋サ変動詞語幹＋ください」という形で使われる。 ○コーヒーをお飲みください。 ○もう一度ご説明ください。 (c)お＋動詞連用形＋なさる／ご＋サ変動詞語幹＋なさる　　これはよく「お（ご）……なさい」という形で使われる。しかし、(b)より敬意が低い。目上の人には使えなくなっている。 ○お話しなさい。 ○しっかりご勉強なさい。 (d) お＋動詞連用形＋です／ご＋サ変動詞語幹＋です ○何をお読みですか。 ○いつご帰国ですか。 (e)お＋動詞連用形＋あそばす／ご＋サ変動詞語幹＋あそばす　　これは動詞の尊敬化形式では、もっとも敬意が高いが、しだいに使われなくなっている。婦人どうしの会話で聞かれることが多いが、男性に対していう場合は、非常に身分が高い人に限られる。 ○少々