京师地名封索引.PDFVIP

174 京 師 地 名 封 索 引 森 田 憲 司* IndextoJing-shiDi-ming-dui KenjiMORITA (1980年9刀30日 受理) は じ め に 京師地名封上 下二 7,著 者の巴哩克杏券女史は,同 治13年(1874)蒙 古鍍八旗巴哩 克氏の娘として生まれ,光 緒23年(1897),僅 か24才で天逝した女性である.そ の記述の 内容は,燕 都の城内城外の古今の地名についてであり,形式は,各 地名を一 天地総 類か ら二 十 畳字類に 至る20の部類に分って配列し,そ れぞれに所在地を記す他, しぼしば由來,異 構に及び,い わぽ,一一種の地名僻典のFを なしている事,次 頁に掲げた 様例に見}る 如くである.杏 券女史は,父 の外出に際して,そ の地名をカ・一一ドに採り,ノ ートにまとめていたという.女 史の死後,父 の命によって兄の彰年が,整 理増補したもの が,今 我々の見る京 師地名封で ある.娘 の追悼の爲のく ばり本と でも言うことが できよう(註1).そ の刊行は,序 文の日付から見ると,光 緒27年(1901)で あり,從 っ て主たる封象は前世紀末のこの古都の地名である(註2). 北京は,明 の成租永樂元年の遷都からでも六百年に近い歴史を持つ古都で,多 くの歴史 上の事件の舞毫であると共に,各 王朝の文墨の淵藪であった.從 って,胡 同と呼ばれるそ の辻々に至る迄,各 朝の往事と何等かのかかわりのないものはない.北 京城やそれを構成 する街々については,朱 舞尊の日 下善聞考を はじめとする多くの文献がある.そ の大 部分は既に刊行,利 用されているが,こ の京 師地名封は,筆 者の知り得た限りでは, 二,三 の公共機関に所藏されているのみで,そ の存在もほとんど知られていないようであ る.こ の事が,こ の索引を編んだゆえんの一つである(本 來ならば,本 文をも付して影印 すべきところであるが,紙kの 關係で,そ れは別の機會にしたい). 今,我 々が北京の地名について検索したい時,前 記の諸地志には,い つれも索引の便が ない.僅 かに,乾 隆京城全圖(1940興 亜院華北連絡部政務局調査部影印)に 付され た曹宗儒氏の手になる索引があるのみである.し かし,こ れは,乾 隆年間の北京に關する ものであり,そ れに封し,前 述の如く本書は前世紀末の北京についてのものである.こ れ が,索 引作製のゆ}ん の第二である. 註(1)著 者杏券女史の傳記及び,出 版の由來については,李 恩綬の巴 哩克氏杏券小姐家傳そ の他 序文等,本 書に付刻された史料による. (2)東 京大學東洋文化研究所漢籍分類目録は,同 所藏本について,封 面に從って光 緒26年刊 本と するが,正 しくは,光 緒27年序刊本と すべきであろう. *史学研究室 森田:京 師地名封索 引 175 凡 例 以下,こ の索引の編集方針を述べるが,理 解を助けるために底本の一葉を様例として掲 げる. 1.こ の索引は,筆 者家藏の光緒27年序刊本を底本として作製した. 2.底 本の見出し語については,原 則としてそのま