空中写真测量と空中写真解析法＊.PDF

551．501． 空中写真測量と空中写真解析法＊ 淵 本 正 隆紳 　はじめに 　写真測量の略歴 　気象衛星から送られてくる写真像が我々にさまざまな 　1850年，フランス人，・スダは初めて写真から地図を 情報を提供してくれるようになってからすでにずい分時 作った．しかしながら今日のような立体測定ではなく， が経ったようにも思われる。 一枚の写真，つまり単写真を使ったもので，それも地上 　この衛星から送られてくる情報は写真的な像として我 で撮った写真を測定したものであった。1858年になって 々の目の前に現われる．テレヴィジョンの天気予報に時 はじめて気球を使った空中写真が撮られた．これまでは 々現われるあれである． 単写真を測定する方法がとられていたが，1892年ドイツ 　このような，いわば衛星写真とも言うべき写真を含め 人，ストルツは一対の写真を用いた立体測定の研究を行 て，いわゆる空中写真とはどんなものだろうか，どのよ い，いわゆる測標の原理を発見した． うに利用することができるのか．今日，広く利用されて いる航空機から撮影される，いわゆる航空写真を通じて リヒは立体写真測定機を作り，今日の写真測量の基礎を 概観してみたいと思う． 作った． 　1．写真測量 　1903年，ライト兄弟の飛行機が飛んで以来第一次大戦 　写真測量と写真判読 を契機とした飛行機の発達，古くは，ダビンチにさかの 　写真測量を広義にとらえると，いわゆる写真測量と写 ぼるカメラや写真乳剤など写真術の発達にともなって写 真判読とに分けてかんがえることができる．この場合， 真測量は発展していった．そして，ついには人工衛星に 写真測量とは，写真を仲立ちにしてさまざまな対象物の よる宇宙写真の出現につながっていった． 測定をしたり図面を作ったりする技術ということができ 　我が国では，1907年はじめて写真測量の理論が紹介さ よう．つまり，対象物を一度写真に写しとりそれを通し れたが，実際に使われたのは，1914年大爆発をおこした て対象物の形，大きさ，位置といったことがらを決定す 桜島の測量のため今の国土地理院の前身である陸地測量 る技術であり，別な言い方をすれば，この種の情報の記 部が地上写真を使って地図を作ったのがはじまりである 憶装置である写真から，位置に関する情報をとりだす技 とされている．第二次大戦終結後，講和が締結され飛行 術である． 機も使うことができるようになった1953年以来，第二次 　これに対し，写真判読とは，写真を仲立ちにして対象 大戦中に熟生した技術とすぐれた写真測量機材の輸入や 物の性質，状態といったものを読みとる技術であり，色 独自の研究開発により，さまざまな分野に広く使われる 調，陰影，模様，きめといった形式で表現されている対 ようをこなった． 象物の写真的な特徴から，たとえば，地質，植物生態， 　この間には，赤外線写真や天然色写真の応用，電子計 土地利用等々といったものに関する情報をとりだす技術 算機と直結した解析写真測量の実用化などもあり，きわ ということができよう． めて広範囲な応用場面をもつ技術となった