同志社大学1pdf4280kb-文部科学.pdf

（様式１） 法人番号 261010 プロジェクト番号 S1411029 研究進捗状況報告書の概要 １ 研究プロジェクト 学校法人名 同志社 大学名 同志社大学 難治性角膜疾患に対するトランスレーショナル研究の推進と国際的研 研究プロジェクト名 究拠点の形成 研究観点 研究拠点を形成する研究 ２ 研究プロジェクトの目的・意義及び計画の概要 透明組織である角膜が混濁すると、重症の視覚障害を生じる。本プロジェクトでは、難治性角膜疾患に対 する新規治療法の開発を目的として、体性幹細胞を用いた角膜再生医療、および病態解明による治療薬 の開発を行う。研究テーマ 1 「医工連携・産学連携による角膜再生医療の開発と産業化の推進」では、同 志社大学において開発した角膜再生医療の基盤技術を用いて 2013 年に開始された培養角膜内皮細胞 移植の臨床研究から抽出された基礎的課題を研究室にフィードバックし、より優れた治療効果を示す培養 角膜内皮細胞移植の実現と製品化に向けた技術開発を行う。研究テーマ1 「難治性角膜疾患の病態解明 と治療薬の開発」では、失明に至る病態不明の難病である Fuchs 角膜内皮ジストロフィ（Fuchs Endothelial Corneal Dystrophy: FECD）に対して、FECD の患者の角膜内皮細胞から疾患モデル細胞株を樹立し、 FECD の病態解析と創薬ターゲットの探索、治療に応用可能な化合物の検討を行う。本研究は、今日の医 学では十分な治療成績が得られない重症の角膜疾患患者に、新しい個別最適化医療を提供するものであ り、患者のQuality of Life 向上に貢献する極めて社会的意義の高い研究である。 ３ 研究プロジェクトの進捗及び成果の概要 各研究テーマにおいて、以下に示す成果が得られ、3 年間の中間目標を達成した。 テーマ1では、 医学系教員2 名が京都府立医科大学における培養角膜内皮細胞移植の臨床研究に参加 し、臨床研究から抽出された課題を同志社大学の研究室にフィードバックすることにより、治療成績のさらな る向上と、企業における製品化を目指した研究を行った。具体的な成果として、細胞老化を制御する新規 の細胞培養液の開発、角膜内皮細胞の効率的培養を可能にする細胞培養基質の開発、移植用細胞の品 質を非侵襲的な方法で評価するための画像解析システムの開発などを行った。また、角膜内皮移植の動 物モデルを用いて 3D 蛍光顕微鏡および免疫組織学的手法による移植後の角膜内皮細胞の動態解析法 を確立した。本技術を用いて、角膜移植後の角膜内皮細胞および炎症細胞の動態の解析、慢性炎症によ る角膜内皮障害の機序の解明に関する研究を進めた。さらに角膜内皮疾患治療のための新しい角膜冷凍 凝固デバイスを作成し、動物眼を用いた安全性試験を実施した。 テーマ2 では、同志社大学において樹立したFECD 疾患モデル細胞を用いて、FECD における細胞外マト リクス産生および小胞体ストレス応答に着目した研究を実施し、病態の解明と治療法の開発に関する重要 な知見を得た。また、エルランゲン大学などとの共同研究によりドイツ人および日本人 FECD 患者における TCF4 遺伝子の解析を行った。さらに、難治性眼表面疾患およびFECD に対する新規治療薬の開発を行う ために、疾患モデル細胞を用いた治療薬スクリーニングを行い、候補化合物を選定した。 上記の内容を含む本プロジェクトの研究成果として、原著論文47 件、図書(分担執筆) 9 件、学会発表219 件、特許出願 10 件を行うなど、研究の進捗と顕著な研究成果が得られた。