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容積率緩和の便益：　一般均衡論的分析 唐渡　広志 　(富山大学経済学部) 八田　達夫 　(東京大学空間情報科学研究センター) 論文の目的 容積率規制緩和の便益測定 都市の労働者分布，賃金率およびオフィス賃料に与える効果を一般均衡論的な枠組みでシミュレーション． 規制緩和による都市全体の付加価値上昇額の定量化． 先行研究 八田?唐渡(2001) オフィス生産関数の推定， 労働者の分布を外生的に変化 →都市全体の生産性の変化を計測 [開放都市] [閉鎖都市] 賃金率は一定であると想定． 本稿の分析方法 オフィス業務の生産関数 企業の行動 市場オフィス賃料Rj, 賃金率W に直面 費用最小となるスペース s と労働n を選択 市場均衡 需給均衡 [ (7)式 ] 床面積市場 労働市場 容積率緩和の効果 労働者分布の変化 賃金率の変化 オフィス賃料の変化 分析の手順 容積率緩和が労働者の分布と賃金率に与える効果の測定[ (9)(10) ] →都市全体の付加価値上昇額の測定 容積率緩和がオフィス賃料に与える効果の測定[ (12) ] オフィス生産関数の推定結果 結果　[ 表1 ] 賃金率の変化，都市全体の付加価値の上昇額（ΔY） 供給ストックの増加によるオフィス賃料の変化(弾性値) まとめ 本稿の結果でも容積率を緩和した地区以外でのオフィス賃料は軒並み低下する傾向を示している． しかしながら，容積率規制が実効的な地区における緩和は，労働市場を通じて賃金率および都市全体での付加価値が増大させる． これは，労働者が再配分されることで効率性が高まり，一人当たりスペースの増加がオフィス業務の混雑を緩和するからである． * * 2003年 9月19日 分析対象地区 容積率規制が実効的な地区で容積率の緩和 （床面積供給の増加） ?当該地区の労働の限界生産性が上昇 →労働需要の増加 →賃金率上昇 ?その他の地区から当該地区に労働力が流入 →その他の地区の生産性が変化 →賃金率がさらに変化 ?新しい賃金体系のもとで異なる労働者分布 ＊閉鎖都市モデルを想定 オフィス生産関数 オフィス賃料関数の推定 シミュレーション 計量経済分析 規制緩和後の 労働者分布 賃金率 都市全体の付加価値上昇額 生産関数： y = F (s, n( Nj, Mj )n ) 労働の効率性指標関数?( Nj, Mj ) Nj：地区jの労働者数， Mj：j以外の地区の労働者数を地区間の移動時間距離で割り引いて全ての地区について合計[ (2)式 ] ゼロ利潤条件：C( Rj, W, Nj, Mj ) = 1 (4) オフィス賃料関数：R= R( Nj, Mj, W ) (5) 生産関数をコブ?ダグラス型に特定[(13)(14)] オフィス賃料関数 (15) 一人当たり床面積需要関数(16)　→ 同時推定 ↓ 推定結果を用いて生産関数を測定． *(15)，(16)の同時推定の結果は表4 503.7 0.0026 神田錦町2 46213 536.5 0.0028 日本橋室町1 46123 626.2 0.0033 日本橋2 46121 665.2 0.0035 大手町2 46114 414.6 0.0022 八丁堀１ 46023 555.0 0.0029 丸の内3 46013 221.0 0.0012 九段北4 45293 363.7 0.0019 新宿3 45264 1115.1 0.0058 虎ノ門1 36903 416.5 0.0022 芝2 36704 DY (億円) 賃金の弾力性 　code　　　　　　　町丁 *指定容積率を現況の2倍にまで緩和するケース 容積率緩和を実行する地区 0.289 -0.019 -0.016 -0.011 -0.047 日本橋2 -0.015 0.308 -0.013 -0.010 -0.050 大手町2 -0.018 -0.017 0.258 -0.010 -0.050 丸の内3 -0.021 -0.021 -0.017 0.171 -0.047 新宿3 -0.017 -0.018 -0.014 -0.009 0.514 虎ノ門1 日本橋2 大手町2 丸の内3 新宿3 虎ノ門1