高度経済成长期以降の日本鉄钢业の展开と立地変动.pdfVIP

Title高度経済成長期以降の日本鉄鋼業の展開と立地変動 Author(s)崔, 麗華 Citationお茶の水地理 Issue Date1997-06-28 URL /10083/12351 Rights Resource Departmental Bulletin Paper Type Resource Version Additional Information 高度経済成長期以降の日本鉄鋼業の展開と立地変動 雀 憲 章 昭和に入って,急速な発展を見せた｡銑鉄及び鋼 1.研究の目的 材の生産量は1925年にはそれぞれ68万トン,104 万トンであったが,1943年(昭和18年)には銑鉄403 鉄鋼業は,電気機械及び輸送用機械を主とした 万トン,鋼材765万トンまで増加した｡しかし, 日本の製造業の中では,重要性が減りつつあると 敗戦によって日本の鉄鋼業は壊滅的な打撃を受け はいえ,鉄鋼業を支柱産業とする地域はまだいく た｡昭和21年 (1946年)の銑鉄,租鉱及び鋼材の つも存在する｡ したがって鉄鋼業の発展は地域の 生産量はそれぞれわずか20,56,43万トンで,大 盛衰にも関わるものである｡ また日本の鉄鋼業は 正時代の生産量にも達していなかった (第1図)｡ 世界の鉄鋼業の中で大きな位置を占めている｡し 稼働する高炉も八幡製鉄所の3基しかなかった｡ かし,管見の限りでは最近の鉄鋼業についての地 戦後傾斜生産方式の導入及び朝鮮戦争による特 理学的な研究は少ない｡竹内 (1996)の新日鉄の 需の発生等により,日本の鉄鋼業は奇跡的な復興 合理化による製鉄所の立地変動に関する研究と岩 を果たした｡1953年に銑鉄,租鉱及び鋼材はとも 間 (1997)の製鉄都市としての釜石市の地域社会 に戦前の最高生産水準を越えた｡その後,鉄鋼業 構造に関する研究が目につくほか,ほとんど見ら は,その他の製造業とともに急速な発展を遂げ, れない｡確かに,七〇年代から八〇年代前半にか 日本の経済高度成長に代表的な役割を果したL,と けて鉄鋼業の大きな立地変動は見られなかった ころが,第一次石油ショックをきっかけに,日本 (1972-1986年の間,鉄鋼一貫工場の数が変わら の高度成長期の終葛をも伴って,鉄鋼業の最盛期 なかった)が,合理化の波に乗り,近年の統廃合 は終止符を打った｡その後,生産量は停滞し,高 によって鉄鋼一貫工場の数が減るとともに,事業 炉の操業が相次いで停止され,鉄鋼業の従業者数 内容も大きく変化した｡歴史のある鉄鋼業の根拠 は次第に減少していった｡(第2図,第3-1回 地ともいえる北九州 (八幡),東北 (釜石),北海 及び第3-2図)｡電気機器及び輸送機械の成長 道 (室蘭)の鉄鋼業が衰退の道をたどる一方で最 とは対照的に,鉄鋼業の製造業に占める地位はだ 新鋭の高炉を持つ,大手鉄鋼メーカーの製鉄所が んだん低下してきた｡八〇年代に入ると,円高に 港に依存しながら,大都市地域の周辺に立地して ともない鉄鋼業の後退はさらに進み,製造業全体 いる｡ に占める出荷額及び付加価値の割合は激減した 本研究はこのような変化に注目し,今日までの (第4図)｡鉄鋼大手5社 (新日本製鉄,)冊奇製鉄, 日本の鉄鋼業の発展,地域別鉄鋼業の変化及び鉄 日本鋼管,住友金属工業,神戸製鋼所)の売上は 鋼業の立地変化をまとめたもの