总合博物馆准教授小林快次PDF-北海道大学.PDF

PRESS RELEASE (2017/8/10) 北海道大学総務企画部広報課 〒060-0808 札幌市北区北 8 条西 5 丁 目 TEL 011-706-2610 FAX 011-706-2092 E-mail: kouhou@j imu.hokudai.ac.j p URL: http://www.hokudai.ac.j p 北海道三笠市産の鳥類化石が新属新種であることを解明 研究成果のポイン ト ・北海道三笠市に分布する白亜紀後期の地層から発見された潜水鳥類ヘスぺロルニス類の化石を，新 属新種として Chupkaornis keraorum （チュプカオルニス ・ケラオルム）と命名。 ・チュプカオルニスの化石は，ヘスぺロルニス類の化石としてアジア最古の化石記録であることを解 明。 ・白亜紀の潜水鳥類ヘスぺロルニス類の系統分類学＊1 を再評価 し，新たな系統関係を提唱。 ・派生的なグループであるヘスぺロルニス科は短期間に急激に体のかたちを進化させ，より潜水行動 に適応 したことを解明。 研究成果の概要 北海道三笠市の白亜紀後期 （1 億年～6,600 万年前）の地層から発見された，地球最古の潜水鳥類 ヘスぺロルニス類の化石を研究 しました。この鳥類化石が新属新種であることを解明し，チュプカオ ルニス ・ケラオルムと命名 しました。ヘスぺロルニス類の化石の大部分は北米大陸から発見されてお り，アジアからの化石記録はこれまで断片的な 2 点の化石 しか報告されていませんでした。チュプカ オルニスはアジア最古のヘスぺロルニス類であり，少なくとも白亜紀後期のコニアシアン期～サン ト ニアン期 （約 9,000 万年～8,300 万年前）までには，ヘスぺロルニス類はアジア東縁部まで分布を広 げていたことがわか りました。さらにこの鳥類グループの系統関係を再評価 し，チュプカオルニスが 原始的なヘスぺロルニス類であることと，派生的なヘスぺロルニス科では短い期間に体のかたちを大 きく進化させ，よりエネルギー効率の良い潜水行動を獲得 したことを明らかにしました。 論文発表の概要 研究論文名 ：The o ldest Asian hesperornithiform from the Upper Cretaceous of Japan, and the phy logenetic reassessment of Hesperornithiformes （日本の上部白亜系から産出したアジア最古の ヘスぺロルニス類と，ヘスぺロルニス類の系統的再評価） 著者 ：田中公教 （北海道大学大学院理学院），小林快次 （北海道大学総合博物館），栗原憲一 （北海道 博物館），アンソニー ・フィオ リロ （米国 ・ペロー自然科学博物館），加納 学 （三笠市立博物館） 公表雑誌 ：Journal of Systematic Palaeontology （大英自然史博物館による古生物学の専門誌） 公表日 ：英国時間 2017 年 8 月 7 日 （月）（オンライン公開） 研究成果の概要 【研究の背景】 白亜紀のヘスぺロルニス類は，大型で飛ぶ力を失った最古の潜水鳥類として知られています。この 鳥類は上顎と下顎に歯があり，中生代＊2 末の大量絶滅によって多くの恐竜類とともに地球上から姿を 消 しました。ヘスぺロルニス類は，同じく高度に潜水適応 したペンギンやウミスズメなどの仲間とは あ し 異なり，後ろ肢で潜水する鳥類で，白亜紀の北半球に広 く分布 していました。この鳥類のほとんどの 化石は，北米大陸 （アーカンソー州～アラスカ州や北極域）の白亜紀