第3节繊维及び繊维制品-JASTPRO.PDF

JASTPRO ウェブサイト掲載用 「検証 WTO 非特恵原産地規則調和作業」（第２2 回） （２０１８年９月２７日掲載分） 第３節 繊維及び繊維製品（第５０類‐第６３類） 第５０類から第６３類まで（第１１部）には、 （i） 紡織用繊維工業の原材料（絹、羊毛、綿、人造繊維等）、 （ii） 半製品（糸及び織物類）、及び （iii） これらのものから製造される物品 を含むが、典型例として、次のものは除かれる。 （ａ） 人髪及びその製品（通常、第０５.０１項、第６７.０３項又は第６７.０４項）、ただし、搾油機その 他これに類する機械に通常使用するろ過布（第５９.１１項）を除く。 （ｂ） 石綿及びその製品（糸、織物類、衣類等）（第２５.２４項、第６８.１２項又は第６８.１３項） （ｃ） 炭素繊維その他の非金属性鉱物繊維（例えば、炭化けい素、ロックウール）及びこれらの製 品（第６８類） （ｄ） ガラス繊維、ガラス繊維の糸、ガラス繊維の織物類及びこれらの製品又はガラス繊維と紡織 用繊維との混用品でガラス繊維製品としての性格を有するもの（第７０類）、ただし、明らかに 紡織用繊維の基布と認められるものにガラス繊維の糸でししゅうをしたものは、第１１部に含 まれる。 繊維及び繊維製品の原産地規則には、（I）製造工程に着目して加工段階（例えば、紡 績、製織、裁断・縫製・仕立て）を基準に原産性を与えるルールを設定する場合と、（II）同 じ加工段階に属しながらも、より付加価値を与える行為（例えば、捺染、浸染）に原産性を 与えるルールの２つが混在する。 （I） 製造工程・物品の態様に着目して加工段階を基準に原産性を与えるルールは、 ① 植物、動物（獣毛）、石油等 ② 原材料としての繊維、 ③ 半製品としての糸、 ④ 半製品としての織物類（織物と編物）、及び ⑤ 製品としての衣類等（第６１類～第６３類） ⑥ ぼろ・くず（第６３.１０項） TPP 日EU・EPA 調和規則 1 JASTPRO ウェブサイト掲載用 「検証 WTO 非特恵原産地規則調和作業」（第２2 回） （２０１８年９月２７日掲載分） への加工（又は消費）段階に従って、既存の主要ルールを挙げれば、（それぞれに例外は 存在するものの）TPP における②から⑤までの全工程の製造を要求する３工程ルール（ヤ ーン・フォーワード・ルール）、日EU ・EPA における②から④又は③～⑤までの工程の製 造を要求する２工程ルール（ダブル・ジャンプ・ルール）、又は調和非特恵原産地規則 （案）における②から③、③から④、④から⑤へのそれぞれの工程で原産性を付与するル ールが存在する。 （II） 同じ加工段階に属しながらも、より付加価値を与える行為としては、上記③半製品と しての糸に対して、 洗浄、漂白、半さらし、浸染、なせん、杢（もく）染等の加工がされたもの。ガス焼きしたもの （すなわち、表面に毛羽立っている繊維を焼き取ったもの）、マーセライズしたもの（すなわ ち、構成繊維に張力をかけた状態でかせいソーダの溶液に浸せきして処理したもの）、油処 理したもの等 上記④半製品としての織物類（織物と編物）に対して、 精練したもの、漂白したもの、浸染したもの、異なる色の糸から成るもの、なせんしたもの、マ ーセライズしたもの、つや出ししたもの、波紋型を付けたもの、起毛したもの、しわ付けしたも の、ガス焼きしたもの等 があるが、これらのすべてに原産性が付与されるものではなく、また、原産性を与える場合 であっても特定の作業との組合せを求められることがある。一方で、現行米国非特恵ルー ルのように浸染、捺染のような工程変更を伴わないものを実質的変更と認めない提案もあ った。 調和作業における繊維及び繊維製品は、機械類及び農水産品と並んでセンシティブ 品目分野とされ、交渉は難航