吾妻山-気象庁ホームページ.pdf

火山活動解説資料（令和元年７月） 吾妻山の火山活動解説資料（令和元年７月） 仙 台 管 区 気 象 台 地域火山監視・警報センタ ー ３日及び31 日に実施した現地調査では、大穴火口及びその周辺で熱活動が継続していることを確認 しました。地震活動や地殻変動では今期間、火山活動の活発化を示す傾向は認められませんでした。 大穴火口や旧火口周辺では、火山ガスの噴出が認められており、熱活動も継続していることから、 火山灰や高温の土砂、熱水等が突発的に噴出する可能性があります。また、硫黄平橋周辺でも火山ガ スに注意が必要です。地元自治体の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。 ○ 活動概況 ・地震や微動の発生状況（図１-②～⑦、図２-②③⑤～⑧、図19） 火山性地震は少ない状態で経過しました。 火山性微動は観測されませんでした。 ・地殻変動の状況（図１-①、図３～５） 浄土平観測点（大穴火口から東南東約１km）に設置している傾斜計では、大穴火口付近浅部の収 縮と考えられる変化が継続していましたが、６月中頃から火山活動が静穏な時期の変化傾向に近づ いています。 GNSS 連続観測では、火山活動によると考えられる変化は認められませんでした。 ・噴気など表面現象の状況 （図２-①④、図６～14） ３日及び31 日に実施した現地調査では、大穴火口付近及びその周辺の地熱域に大きな変化は認 められず、熱活動が継続していることを確認しました。 監視カメラによる観測では、大穴火口の噴気の高さは 50ｍ以下で経過し、大穴火口付近及びそ の周辺の噴気の状況に変化は認められませんでした。浄土平３監視カメラの熱映像データの解析で は、一部の地熱域（八幡焼西部、南部 W-10 周辺）で５月中旬頃から地熱域の温度上昇や拡大が認 められていましたが、６月中旬頃からは概ね停滞しています。 ・火山ガスの状況 （図15） 大穴火口の北西に設置している火山ガス観測装置による観測では、2018 年７月下旬頃から噴気 に含まれる二酸化硫黄（SO ）と硫化水素（H S）の組成比（SO /H S）が高くなりはじめ、2018 ２ ２ ２ ２ 年９月頃からは高い状態が継続しています。 ・全磁力変化の状況（図16～18） 大穴火口周辺に設置している全磁力連続観測装置による観測では、2018 年９月頃から大穴火口北 西地下の温度上昇や温度上昇域の拡大が更に進んでいることを示唆する全磁力値の変化がみられて いましたが、大穴火口３及び５観測点では 2019 年２月頃から、大穴火口４観測点では 2019 年６月 頃から、その変化に鈍化が認められています。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― この火山活動解説資料は、仙台管区気象台のホームページ（https://www.jma-net.go.jp/sendai/）や、気象庁ホー ムページ（https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/monthly_v-act_doc/monthly_vact.php）でも閲 覧することができます。次回の火山活動解説資料 （令和元年８月分）は令和元年９月９日に発表する予定です。 資料で用いる用語の解説については、「気象庁が噴火警報等で用いる用語集」を御覧ください。 https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/kaisetsu/kazanyougo/mokuji.html この資料は気象庁のほか、国土交通省東北地方整備局、国土地理院、東北大学及び国立研究開発法人防災科学技術 研究所のデータも利用して作成しています。 本資料中の地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の「数値地図50ｍメッシュ（標高）」 及び「電子地形図（タイル）」を使用しています（承認番号：