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科学博物館を利用した教育実践 東京都立航空工業高等専門学校 電子工学科 助教授 鈴木 達夫 概要 東京都立航空工業高等専門学校の電子工学科では、１年のときに科学 博物館の見学を行っている。科学博物館の見学をより効果的にするた め、見学方法を改善した。学生に適切なレポート課題を与えることで、 極めて高い教育効果をあげることができた。学生から提出されたレポ ートを分析することで、学生がどのようなことに興味を示したかを把 握した。その分析結果と私の教育経験をもとにして、僭越ながら、科 学博物館のより効果的な展示方法を次のように提言する。 ① 体験型展示のそばに、その応用製品をわかりやすく展示する。 ② 体験型展示のそばに、その動作原理を発見・発明した人の、写 真・肖像画や年表を展示し、その発見・発明時のエピソードな どをわかりやすく示す。 ③ 不思議を感じたら、その場でその疑問を解決できるような詳細 な解説を用意する。また、知的好奇心をより高いレベルにまで 引き上げるような解説を用意する。 科学博物館を利用した教育実践 東京都立航空工業高等専門学校 電子工学科 助教授 鈴木 達夫 【１】はじめに 東京都立航空工業高等専門学校は、中学校卒業後、工業に関して５年間の一貫教育を 行う高等教育機関である。航空工学科、機械工学科、電子工学科の３つの学科があり、 一学年の定員はそれぞれ、４０名、８０名、８０名である。大学入試などに煩わされず、 若いうちから専門教育を学ぶことが特徴である。卒業後は約３割の学生が大学（主に国 立大学工学部）の３年次に編入し、残りの学生は民間企業に就職する。本校の企業から の評価は高く、この長期不況下においても求人は順調であり、就職希望者全員が就職す ることができる。 私は平成１１年４月に電子工学科の新入生の担任を命じられた。担任は卒業までの５ 年間、持ち上がりとなることが本校の慣例であり、結果として平成１６年３月の卒業ま で担任を務めることとなった。本校には科学技術に関心をもった学生が入学してくるた め、その知的好奇心をより発展させることが重要であると考えて、担任の仕事を務めて きた。 ところで、電子工学科では１年の秋に、工場見学として科学博物館の見学を行うこと になっている。入学して間もない学生に対して、科学博物館の見学は５年間の工業高等 専門学校での勉学に対する知的好奇心を発展させるために極めて重要な学校行事である と私は考えた。そのため、科学博物館の見学をより効果的にするため、見学先や見学方 法を再検討することにした。 【２】見学先の選定 過去の工場見学では、表１のように午前と午後で科学博物館を２つ見学するか、また は科学博物館と工場の見学を行っていた。そして、後日、簡単な感想文を提出させると いうことが慣例となっていた。しかし、過去に工場見学の引率をしたときの経験から、 次にあげるいくつかの問題点があることを感じていた。 表１ 電子工学科の過去の見学先 平成 ５年度 東芝科学館、東芝工場 平成 ６年度 東芝科学館、国立科学博物館 平成 ７年度 東芝科学館、船の科学館 平成 ８年度 東芝科学館、東芝小向工場 平成 ９年度 東芝科学館、船の科学館 平成１０年度 東芝科学館、船の科学館 - 1 - ① ベンチなどでのんびりと休憩をとって、見学時間を浪費してしまう学生がいる。 ② 一つの展示だけにゲーム感覚で夢中になってしまい