海域気象海象调査.PDFVIP

３ 海域・気象・海象調査 洋上風力発電所設置海域の決定、事業化の検討、設計条件等の基本データを得るために、海 上風や波浪等の実測調査を行う。候補海域の風況、波浪、海潮流等の観測データは、洋上風力 発電のプロジェクト・リスクを低減し、ひいては事業の利益率を上げることにつながるため重 要である （本ガイドブックⅢ.10 節、事業性評価を参照）。また、施設運開後もオンサイトの観 測データを長期にわたって取得することを推奨したい。 ここでは、気象 （風況）、海象 （波浪、海潮流）、海底地形・土質に関する調査手法の概要を 示す。 ３. １ 風況 洋上風力発電の事業計画を検討するためには、海上風の風速、卓越風向等の風況特性を把握 し、事業の可否を検討するデータを取得することが重要である。また、設計に関わる極値風速 を推定することも必要である。ここでは、そのための海上風の観測調査と予測方法を示す。な お、「風力発電導入ガイドブック改訂第 9 版 （2008）」も併せて参照されたい。 (1) 海上風の観測調査 ヨーロッパでは、プロジェクトの融資には現場の風況観測データが必要である。そのために は多大なコストをかけることになるが、実測データは、上述のように計画から設計、建設、維 持管理等に至るまで、多大な便益を及ぼすことも事実である。海上風の測定設備は「着床式」 および「浮体式」、また測定方法は三杯式風速計と矢羽根式風向計に代表される「直接測定」お よびドップラーライダ等による「間接測定 （リモートセンシング）」に区分される。一方、海上 風の測定要件として次の 2 つをあげることができる （NEDO、日本風力発電協会ら,2007）。 ◎測定の正確さが実証されたものであること。 ◎測定の不確かさが定量化できるものであること。 本要件から見れば、海底に設備を固定する「着床式」と「直接測定」による観測方法が最も データの信頼性が高いと考えられる。なお、後述するように、浮体式洋上風力発電を想定した 水深の深い海域における海上風観測手法として、特に海外で浮体式海上風観測システムの検討 が進んでいる。また、浮体式海上風観測の測定機器としてドップラーライダ等が使用されるが、 観測タワー （着床式）においても、実証試験等で研究面から上空の風況特性を調査するために、 ドップラーライダ等を搭載している事例が数多く見られる。 1) 洋上風況観測タワーによる海上風観測方法 着床式の洋上風況観測タワー＊1による海上風の観測方法について、概要を示す。 ＊1 洋上風況観測タワーは高額であることから、最近、ドップラーライダによる浮体式洋上風況観測システムが 開発されているが （Ⅲ.3.1(1)5)参照）、現時点ではファイナンスレベルのデータの精度は検証されていない。 - 118 - ①洋上風況観測高度 今後、洋上風車は大型化し、5MW 以上の風車が主流になると考えられるため、後述する海 ＊ 外の商用洋上ウィンドファームにおける観測タワーの例 2 （表Ⅲ.3.1-10、参照）を参考にして、 観測タワー高度および観測高度を以下のように設定した。 ＊ ✓観測タワー高度：100m 2 ✓観測高度：3 層 ・ハブ高 （約 100m） ・ブレード最下端 （約 35m） ・両高度の中間 （約 70m） ＃中間高度の観測は、風速の鉛直プロファイルやべき指数を検討するためのデータに 利用する。 風車定格出力 ５―６ (MW)