2017年日本流行語から見る日本世相.docVIP

PAGE PAGE 11 2017年日本流行語から見る日本世相 一、はじめに 言葉は文化の担体として、表現職能と認識職能を持っている。表現職能とは、人々が言葉を通じて、その心情や考え、意識をはっきり現そうとするものである。認識職能とは、言葉の交流を通じて、ある現象あるいは知識を宣伝して、人々の認識の程度を拡大しようとするものである。流行語は言語表現の新形式であり、社会から生まれ社会を反映するものである。流行語はある一定の期間に人々によって広く宣伝され、喜んで使われる言葉と短文である。この言葉と短文はその時期の、その社会の特徴と変化を反映している。本文は日本の2015年流行語を例にして、流行語の解釈、調査、分析を踏まえ、いろいろな研究文献に見られる主な見方を参照し、2015年における日本の世相を知りたいと思う。 二．流行語の概況 21世紀以来、特に80年代と90年代に、流行語は人々に愛用される。中国では流行語の公布機関は多いが、発表の内容が少々異なる。日本はちょっと違い、日本の年度漢字と年度流行語は別々の機関によって発表される。1995年から、年度漢字は日本漢字能力検定協会により全国から募集され、評定される。日本流行語の評定は「新語?流行語大賞」と呼ばれて、毎年の12月に発表される。「現代用語の基礎知識」の出版社――『自由国民社』はこの評定に関する責任を負う。読者審査員のアンケートを参考に、『現代用語の基礎知識』編集部がノミネート語を選出する。選考委員会によってトップテン、年間大賞語が選ばれる。中国の流行語の公布活動と違い、日本では流行語の発表式と同時に受賞式も開催して、トップテン流行語の受賞者あるいは団体に賞を授ける。1984年にこの活動が始まってから、もう30回開催されている。今、この授賞活動はもう外界が日本世相の変化を観察する窓口になっている。 流行語は社会現象と成り行きを反映するものとして、例年流行語を観察することによって、日本社会の状況をよりよく理解できる。流行語には三つの特徴がある。 （一）流行性 流行性とは使われる期間が短いという意味である。流行語はある時期に限ってのみ人々に喜んで使用される。この期間を過ぎると、流行語には二つの選択肢がある：一、流行語はだんだん人々に忘れられて、人々の記憶から消えていく。二、流行語は一般言語の範囲に記録される。普通は「○○ブーム」はすぐに消えていく。例えば：80年代、猫を飼うことが流行し「猫ブーム」という言葉が流行した。また「ほかほか弁当」もそうだ。しかし、時間が過ぎて、このような言葉はどんどん消えた。しかし、ある流行語は生き生きと社会世相を描き、人々に引き続き使われている。例えば：2004年の「負け犬」は未婚者、子供のない人、30歳以上でまだ結婚していない女を喩えている。「負け犬」の現象はまだ消えないから、この言葉はまだ使われている。 （二）高頻度 高頻度は流行性の伸びである。流行語は人々に喜んで使用されるから、一般言語より流行語の使用頻度は当然高くなる。 （三）創造性 流行語は一定時期のある世相を表すもので、創造性が二つある。①具体的な比喩を通して、ある現象を喩えている。例えば、前に述べた「負け犬」など。②ある現象を抽象して概括してから、簡潔な言葉に置き換える。例えば、2006年の「格差社会」は階級社会を反映したものである。 三、2015年政治に関する流行語から見る日本人の民主意識 2015年12月1日、選考委員会は東京で「2015年度新語?流行語」授賞会を開催し、2015年トップテン流行語が正式に発表された。毎年度新語?流行語の中で政治に関する流行語は欠かせない。2015年の政治に関する流行語は三分の一を占めた。それは「アベ政治を許さない」「一億総活躍社会」「SEALDs」である。 （一）アベ政治を許さない 「アベ政治を許さない」の受賞者は、この政治スローガンの発案者である作家の沢地久枝さんである。2015年7月15日、自民党と公明党の賛成票によって、衆議院平和安全法制特別委員会は集団的自衛権に関する内容の安全保障関連法案を可決した。沢地久枝さんはこの法案に反対して、このスローガンを発表した。そして、「アベ政治を許さない」は国会前で行われた安全保障関連法案成立反対デモに集まった人々に多く使用された。 （二）一億総活躍社会 「一億総活躍社会」の受賞者は内閣総理大臣安倍晋三さん。1967年に日本の人口は一億人を突破した。国民の生活も年々豊かになり、70年代には「一億総中流」という言葉が流行した。「一億人」は日本の豊かさの象徴の数字であると安倍総理は語る。デフレ対策について、安倍首相は2012年以来、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」を