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概年リズムの位相反応曲線 西村知良1)、宮崎洋祐2)、沼田英治2)凶 1) 京都工芸繊維大学繊維学部応用生物学科 2) 大阪市立大学大学院理学研究科生物地球系専攻 概年リスムはさまざまな生物で見られ、約半世紀にわた‘ って研究されてきたが、その 実体はほとんどわかっていない。とりわけ、概年リズムを示す生物の体内に本当に約 1年周期の振動体が存在するのかどうかは、残された大きな課題である。振動体の実 体を探り出す方法の一つに、その振動体の位相反応曲線を調べるというものがある。 位相反応曲線は、同調因子による刺激が振動体のどの位相に与えられたかによって位 相変位が異なることを示しているので、この曲線から、振動体の位相やその挙動を知 ることができる。本稿では、ヒメマルカツオブシムシの踊化の概年リズムにおいて得 られた位相反応曲線を紹介する。その位相反応曲線は、大きな位相後退と位相前進が みられ、後退から前進ヘ不連続に移行するタイプOに分類されるものであった。約 1 年の振動体の存在なしでは、タイプ0の位相反応曲線を説明できないことから、約 1 年の周期をもっ概年時計によ って、概年リズムが生み出されていると考えられる。 ，.はじめに サッカー (Catostomuscommersoni)の選好する水 季節をめぐる 1年の周期的な環境の変化に適応す iffitのリズム13J などカf知られている1\1。 るために、動物はいくつかの しくみを持っている。 ?W，脊椎動物でも、 ヒメマルカツオブシムシ 多くの動物は、やがて訪れる季節をあらかじめ知|る ()lnthrenusverbasci)の師化に、約 1年の周期が しくみとして、その時の日長を感じて、それに対し あることがBlakeによって示された2)出。ヒメマルカ て生理応答する「光周性」というしくみをもっ01則。 ツオブシムシは、乾燥した動物性タンパク質を摂食 一方、約 1年という非常に長い周期をもっ内因性の する l干!虫で、 毛の衣類や動物性食品の害虫として知 リズムによって、季節の変化に対応するしくみを持 られている。日本やイギリスなどのliut帯域では、成 つ動物がいる。このしくみは「概年リズム」と呼ばれ、 虫は野外で 1 年に一度、 4~6 月頃にのみ見られる 19世紀よりその存在が推!iJ]lされていたが、初めて実 ことが観察されている14)3110 日本の個体群を用いた 験によって示されたのは、Pengell巴yとFisherによる 0 実験では、この虫を光周期 (LD12:12)、温度 (20C)、 キンイ ロジリス (SpermopJl1JusJateralis)の冬11[;に 相対湿度 (66%) をすべて一定にした条件で飼育す 関する研究であった判。 彼らは、明音1211寺1M]:12時間 ると、第26週前後に踊化する集団が見られる。 しか 0 (LD12:12)の一定光周期、 2Cの一定1uiU支の条例二 し、その時期にすべての幼虫が師になるわけではな 下で約2年間キンイロジ リスを飼育 し、 その体重の い。残りの幼虫を飼育し続けると、第 1グループの 変化と冬If民に約 l年の内因性のリズムがあることを 姉化H寺則より約37週後に、第2グループがj羽化する。 示 した。これ以外にも、ニホンジカ(C，θrvus すなわち、約37週の周J1