価値観と生活意識に関する定量分析.pdfVIP

一般論文 平成 21 年 12 月 14 日受理 価値観と生活意識に関する定量分析 —　宗教意識をめぐる考察　— Study guide for large scale international comparative surveys and quantitative analysis, some findings about values and religiosity. ● 吉田俊六 / 富山大学芸術文化学部 SHUNROKU Yoshida/Faculty of Art and Design, University of Toyama ● Key Words: Self-Expression, Post-Materialist, Religiosity, Lifestyle, Values 要旨 ていたこともあり、同研究所の “VALS ” （アメリカ人 定量分析のデータとして 「世界価値観調査」を取り のライフスタイル類型 ；Values and Lifestyles ）は開発 Self- 段階からウオッチしてきている。同様に、2001年の第 上げ、芸術文化学部の将来にも関わる “自己表現 ： Expression ” 価値重視のトレンドについて、文化地図を 五回調査の専門委員として25年目の時系列調査に関わ 手がかりに探る。また、国際比較を行うときに日本人の れた、“日本人の生活価値観調査” （（財）生命保険文化 “宗教” 観があいまいであることの実態を確認する。最 センターと野村総合研究所が共同で企画実施してきた） 後に、価値観生活意識について筆者が最も説明力を持つ からも多くを学んだ。さらに、大学の教員となり 「社会 と捉えているライフスタイルアプローチについて、世界 調査法」を担当してから “意識と行動の測定 （および予 価値観調査に新たに設定された質問群について、特徴を 測）” 屋と自称するだけでは役割が果たせないことに気 さぐり、今後の研究課題を整理する。 づかされた。 米国のオバマ政権の誕生、日本の民主党政権への交代 １．はじめに の共通点は、世論（社会調査結果）がマスコミ等のメディ 12年前に実務経験者として国立高岡短期大学産業情 アを通じて社会の構成員である市民に伝わり、新たな反 報学科経営実務専攻に呼んでいただく以前は、民間のシ 応を引き出し、これが情報化して新たな世論形成を促進 ンクタンクで人間の意識や行動を実務として分析してい することで市民が自分達の意向が認められること、“We た。これも、数十年前の学生時代に基礎訓練を受けた心 can change ” に実感をもてるようになったことなどと考 理測定を応用した定性 ・定量分析に論拠する課題解決や えられる。世論を操作してはならないが、身近に世論が 提案を行うものが中心であった。新商品開発であれば かわるきっかけを発見できる。私が担当してきた 「ライ マーケティング・リサーチ （市場調査）であり、民間企 フスタイル」や 「社会調査法」の授業で 「世界価値観調 業が主要なクライアントであった。地域住民へのサービ 査2005年日本語版」の質問紙を配布し、この国際的な スを充実させるための意向を探るのであれば、社会環境 広がりを持つ調査に参加してもらった結果から、学んだ 分析や社会調査を行うことであり、中央 ・地方の行政が ことが沢山ある。例えば、回答とともに、コメントを 主なクライアントであった。組織の活性化に関わるコン