TMS-19-Q の耳鼻咽喉科領域における基礎的ならびに臨床的検討.pdfVIP

CHEMOTHERAPY 452 SEP.1984 TMS-19-Qの耳鼻咽喉科領域における基礎的な らびに臨床的検討 木 下 治 二 ・馬 場 駿 吉 ・森 慶 人 名古屋市立大学医学部耳鼻咽喉科教室 波 多 野 努 豊橋市民病院耳鼻咽喉科 TMS-19-Qの耳鼻咽喉科領域 におけるi基礎的な らび に臨床的検討を行 ない,下 記の結果 を得た。 1)抗 菌力:臨 床分離のStaphJocoocus aureus17株に対 して,Josamycin,Erythromycin, Midecamycin,LeucomycinA6,LeucomycinA7とほぼ同等の抗菌力を示 した。 2)組織 内濃度:空 腹時600mg経口投与,60分後に扁桃組織 内濃度は ピー クを示 し,その値は 0.86μg/gであった。 3)臨 床成績:耳 鼻咽喉科領域感染症19例 に対 して実施 した臨床成績は,著 効8例,有 効5例, やや有効4例,無 効2例 で,有効率は68,4%であった。 4)副 作用:副 作用は全症例において認め られなかった。 TMS-19-Qはマ ク ロライ ド系抗 生 物 質 キ タサマ イ シ Fig. 2 Sensitivity distribution of S. aureus to 17 strains ンの一成 分 で あ る ロイ コマイ シ ソA5の3位 を化学 的 にプ ロ ピオ ニル化 して得 られ た誘導 体3-propio簸ylleu- comycinA5(Fig.1)で,既存 のマ ク ロライ ド系抗 生物 質 と同様 に,主 に グ ラム陽性 菌群 に対 して,優 れ た抗 菌 力 を有 す る経 口内服剤 で あ る。従 来 の マ ク ・ライ ド系抗 生物 質 に比 べ,経 口投 与 に よ り速や か に吸収 され,個 体 差 も少 な く高い血 中濃度 が得 られ,そ の臨床 的 な有用性 が期待 され てい る1)。 今 回,我 々 は耳鼻 咽喉科領 域感 染 症 に お け るTMS- 19-Qの基礎 的 ・臨床 的検討 を行 ない,若 干 の成 績 を得 た ので報 告す る。 Fig. 1 Chemical structure of TMS-19-Q 1in(CEZ)と比較検討 した。 標準菌株 に対するMICはTable1に示す よ うに, 他のマ クロライ ド系抗生物質 と同様にグラム陽性球菌群 には優れた抗菌力 を認 めたが,グ ラム陰性桿菌群にはほ 1.抗 菌 力 とん ど抗菌力 を示 さなか った。 また,臨 床分離のS αureus17株(Fig2)に対す るMlcは,0.39μg/ml 標 準 菌株11株 と臨床分 離 のS.aureus17株に つ い て,日 本化 学療 法 学会標 準法2)に準 じ,そ の最 小発 育 阻 以下で13株(76%)が発育阻止 されたが,3.13μg/ml 止濃度(MIC)を 測 定 し,併 せ て,Josamycin(JM), お よび6.25μg/m1にそれぞれ1株 ずつ,25μg/mlに