教育研究情報の電子流通と著作権-j-stage.pdfVIP

土木学会論文集H（教育）Vol.2,116-125, 2010.3 教育研究情報の電子流通と著作権 1 Christakis MINA2 3 4 小林裕司 ・ ・宇野伸宏 ・小林潔司 1非会員 京都大学経営管理教育部（〒606-8501 京都府京都市左京区吉田本町） E-mail:y.kobayashi@hs7.ecs.kyoto-u.ac.jp 2学生会員 京都大学大学院博士後期課程（〒615-8540 京都市西京区京都大学桂） E-mail: Chrismina@civil.mbox.media.kyoto-u.ac.jp 3正会員 京都大学大学院経営管理研究部（〒606-8501 京都府京都市左京区吉田本町） E-mail:uno@trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp 4 フェロー会員 京都大学大学院経営管理研究部（〒606-8501 京都府京都市左京区吉田本町） E-mail:kkoba@psa.mbox.media.kyoto-u.ac.jp 近年，講義資料や論文などの教育研究情報の多くがデジタル化され，ネットワークで流通されることが 一般的となっている．本研究では教育研究情報が有する著作権の特殊性について指摘し，教育研究情報の デジタル化に伴って生じる著作権問題について考察する．さらに，近年急速に進展しつつある教育研究情 報のオープン化戦略に関する既往事例をとりあげ，電子環境下における学術情報流通に伴う著作権制度上 の課題について考察する．さらに，日本，米国，英国の土木学会における著作権の考え方を比較し，教育 研究情報の電子流通，オープン化に対して学協会が取り組むべき検討課題について考察する．その上で， 土木学会における教育研究情報の電子流通方策についての意見を述べる． Key Words : open access, electric circulation, copy right, education and scientific information 1. はじめに 集へのアクセスが飛躍的に増大することが期待される． 近年，教育研究情報のオープンアクセス化が注目を集め， 近年の情報通信技術の急速な発達に伴い，講義資料，学 学術情報の流通形態に大きな変革をもたらしている．一方 術論文等の教育研究情報を電子データとして保存し，ネッ で，教育研究情報のデジタル化，新たな情報流通媒体の出 トワークを通じて公開するシステムの構築が容易となった． 現により，従来あまり意識されてこなかった著作権の扱い 大学/学協会による教育・研究成果の積極的公開は，潜在的 に注意しなければならない場面が増えている．本研究では， 読者に対する教育研究情報へのアクセス向上，教育研究情 教育研究情報が有する著作権の特殊性について指摘し，こ 報の引用増加による教育研究活動の活性化，新たな読者層 れら情報の電子流通における現状と課題について考察する． の拡大，社会発展への寄与などをもたらすことが期待され さらに，教育研究情報のオープンアクセス化をとりあげ， る． 電子環境下における教育研究情報流通に伴う著作権制度上 電子環境の普及に伴い，多くの学協会/学術出版社におい の課題について考察する．さらに，日本