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　　 ＶＥ関連技法 ＶＥを革新するTRIZ技法の適用と効果 －ＶＥエンジニアの強力な武器として使わない手はない－ 　　　　　　　　　　　　富士ゼロックス㈱ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　マネージャー　技術士（総合技術監理部門、機械部門） 　　　　　　　粕　谷　　　茂 て最新動向も含めたTRIZの真髄を整理し、それら １．はじめに の実践結果から、より効果的な活用方法と効用に 毎年夏に、創造性開発技法であるTRIZの事例発ついて考察する。 表会が「ＩＭユーザーグループミーティング」と ２．ＶＥの本質的課題 いう名称のもとに開催されている。そこで、私達 は、富士ゼロックスのTRIZ事例を数例ずつ２度発 負け組に入りたくないため、顧客指向を目指そ 表した。また、最近ＶＥ協会で「導入してどんな うと、現在多くの企業でマーケティングやＣＳ（顧 効用があるか？」「どんな使い方をすれば効果的 客満足）などが重要視されている。マーケティン か？」という切り口で、講演を行った。参加者の グ・コンセプトは、顧客ターゲット、顧客ニーズ、 真剣さがひしひしと伝わってきた。 独自能力（差別化能力）の３つの軸である。これ 1996年に、「超発明術…」のキャッチコピーで、 を無視し、価格競争の悪循環に突入すると、利益 TRIZは日経メカニカルに紹介された。翌年から日なき競争となり、そのうちに疲弊し共倒れになる 可能性も高い。 本でもTOPE(Invention Machine:ＩＭ社)や ＶＥの基本的な考え方は、モノやサービスの機 IWB(Ideation International：ＩＩ社)と呼ばれる 商品名でTRIZソフトウェアが販売された。高価だ 能とコストのバランスを改善することによって価 が、購入した企業も数十社に及んでいる。 値の向上を図ることとされている。公式とその手 日本経済のバブルがはじけた後、いまだに立ち 段は次のようになる。 直れない企業が多くなっている。日本国内では産 Ｖ(価値)＝Ｆ(機能)／Ｃ(費用) 業の空洞化が起こり、中国製品に日本製品が脅か ①機能はそのままでコストを下げ価値を上げる。 されている。それと対極的に、高付加価値製品や ②コストはそのままで機能を上げ価値を上げる。 ブランド製品には強力な競争力が存在する。技術 ③コストを下げ機能を上げて価値を上げる。 領域にも、勝ち組、負け組の二重構造化が顕著に ④コストも機能も上げて価値を上げる。 なりつつある。 勝ち組となるには、ＦとＣの両者を満足させる 技術領域で勝ち組となるためには、最終的に特 方法を短リードタイムで実現する必要がある。 許につながる独自技術にこだわる必要がある。 ＱＣが、現状をベースに問題を発見し、原因や TRIZは、そのための知恵を効果的に引き出す。こ要因を追求し解決しようとするのに対し、ＶＥは、 こ数年、日本産のTRIZ事例も徐々に出始め、活用まず、顧客ニーズ・問題提起から「あるべき姿」 法も含めて､TRIZの導入環境も整ってきた。ＶＥｒ． を設定し、それを実現するにはどうしたらいいか エンジニアに計り知れない恩恵をもたらすものと を考える。前者が「犯人探し」、後者が「恋人探し」 考えられる。ＶＥの本質的課題とその解決策とし ともいわれる理由でもある。 ここ数年、日本におけるＶＥニ