保健行動のモデルの整理.docVIP

保健行動のモデルの整理 中山和弘 １　保健行動の定義　Gochman（1982） 健康の維持、回復、向上に関係する、 １）信念、期待、動機、価値、知覚といった認知的な要素についての個人の特性 ２）感情や情緒などの個人の性格 ３）おもてに現れる行動パターン、活動、習慣 であり、家族構造やそのプロセス、仲間集団や社会的、制度的、文化的な決定要因の影響を受けているもの 意識的か無意識的かに関らず、健康の維持、回復、向上に関係して、していること、くりかえしていること 以下は含まれない １）治療 ２）生理学的回復（骨折の治癒、傷の治癒、免疫、感染への抵抗力） ３）健康状態 しかし、これらに対してどう思うかは保健行動 直接的に観察できる、表に現れた活動だけでなく 観察される、または間接的に測定される精神的な出来事や気持ちも含まれる ２　KaslとCobb（1966）による3つの保健行動 １）保健行動（health behavior）、健康行動 　→予防的防衛的行動（Preventive and Protective behavior）のこと ?１次予防 　医学的でない行動 　　　日常生活でのBreslowの６つのカテゴリー（７習慣では食習慣が2つ） 　　（２）食習慣（規則性、回数、量、朝食） 　　（３）体重管理 　　（４）身体活動 　　（５）飲酒の回数と量 　　（６）禁煙 　その他の日常生活での予防行動 　　（１）車のシートベルト、オートバイのヘルメット?服装、交通規則を守る 　　（２）職場の健康と安全の規則を守る 　医学的な行動 　　（１）予防接種 ?２次予防 　それ自体は状況が起こることを防げないが、その状況を早く発見し、そのインパクトを最小化する 　　（１）定期検診 Preventiveというからには健康状態と関係がなければいけない しかし、HarrisとGuten（1979）Protective health behaviorという言葉で、その健康状態との関係が医学的に証明されていない客観的に効果があるないに関らないものも含めて考えている。 ２）病気行動（Illness behavior）、病感行動、病気対処行動 　　（１）健康かどうか確信が持てない 　　（２）病気の兆候か症状と思われる身体の感覚または気持ちで困っている 　　（３）そのような経験の意味をはっきりさせ、健康かどうか判断したい 　　（４）もし健康でないならどうしたらよいか知りたい 　という人の行動 　help-seeking行動、Suchman,Mechanic, 　Mechanic（1966/1972） 　　（２）それを探すかどうか決定 　　（３）相談相手の選択 　これらは、社会文化的に学習され決定されているというところが決め手 次のものを含む 　　（１）身体の兆候や症状への反応 　　（２）より広く社会に公認されている（保健医療専門職）かいないか（民間療法など）どうかによらず、健康の専門知識を持つと思える人に意見やアドバイスを求める 　　（３）家族、友人、近所、同僚に意見やアドバイスを求める 　　（４）兆候や症状が去るまで待つ ３）病者役割行動（Sick-Role behavior）、患者役割行動 　　他者によって病気だと指摘されたまたは自分でそう思っている人がする行動 　　（１）医学的に処方された方法を受け入れる 　　（２）行動の制限、自分?家族?社会の責任の制限 　　（３）回復やリハビリにつながる活動 ３つの行動に分けて考えておくと、それらを決定しているものが共通なのか違っているのかということを明らかにできる可能性がある ３　その他の分類 Kolbe（1984）の９分類 １）ウェルネスWellness行動 ２）予防的保健Preventive health行動 At-risk行動 Baric,1969（健康、at-risk、回復期、病気）、宗像（半健康への気づきと病気回避行動Illness-avoiding) Illness行動 Self-care行動 ６）病者役割Sick-role行動 Reproductive行動 ８）子育て保健Parenting health行動 Health-related social action 　一人もしくは組織的法的経済的な方法で誰かと協力して、保健医療サービスの提供、環境の影響、各種生産物の影響、集団の健康に影響を及ぼすような社会規制の影響を左右するような活動 ２）、４）、６）はKaslとCobb ７）－９）他者の健康に影響を及ぼす。情報化された意思決定を促す。 文献　David S. Gochman ed. Health