固体水素中に捕捉された分子の回転定数について.docVIP

固体パラ水素中のメチルラジカルの分光学的研究 Infrared spectroscopic study of rovibrational states of methyl radical trapped in parahydrogen crystal 保科宏道 香月浩之 伏谷瑞穂 百瀬孝昌 京都大学理学研究科化学専攻 Hiromichi Hoshina, Hiroyuki Katsuki, Mizuho Fushitani and Takamasa Momose Department of Chemistry, Graduate School of Science, Kyoto University, The ?3 vibrational transitions of CD3 trapped in solid parahydrogen p-H2 at cryogenic temperature have been studied by Fourier transform infrared spectroscopy. The observed spectra are analyzed by taking into account the crystal field potential, which is derived by the symmetry of molecule D3h and crystal D3h . Molecular constants of CD3 was determined by the least-squares fitting of observed spectra to theoretical model as in the previous work on the CH4/p-H2 system. The effective rotational constants obtained from the analysis of the spectra were found to be slightly smaller than the rotational constants　in the gas phase, but the reduction varies 70-90% of the gas phase values depending on molecules. We will discuss on the mechanism of the reduction of the rotational constants by using ab-initio calculation and on the crystal field interaction in the quantum crystals. 固体パラ水素は分子間相互作用が非常に小さい固体である。また、その量子性のために格子間隔が大きい。そのため、固体パラ水素中に捕捉された分子は緩和が遅く不均一幅が小さくなるため、高分解能分光を行うことが可能である。今回我々はこの特性を利用し、マトリックス分光の媒体に固体パラ水素を用いてその中に捕捉された重水素化メチルラジカル CD3 の赤外振動回転スペクトルを観測した。 メチルラジカルはヨウ化メチルのUV ”in situ”光解離反応により生成した。光解離によって生成するヨウ素原子はラジカルから十分遠く離れたサイトに捕捉されていることがヨウ素原子の電子遷移の観測から明らかになっている。 固体パラ水素中に捕捉されたメチルラジカルは、周囲の水素分子から分散力に起因する静電場ポテンシャル受ける。D3hの対称性を持つメチルラジカルがD3hの対称性を持つ固体パラ水素結晶中にあるとき、系全体の対称性は拡張群により”D3h”?? “D3h”で表される。ポテンシャルは分子及び結晶全ての対称操作に対して全対称でなければならないという条件を使うことで、メチルラジカルの感じるポテンシャルの異方的な成分を求めることができる。最低次数から2項は以下の様に書けることを見出した ここでDはWignerの回転行列（phaseはWignerのオリジナルのもの）、?はラジカルの結晶軸に対するオイラー角である。?2a,?3cは結晶場パラメーターと呼ばれる係数である。 このポテンシャルによって、メチルラジカルの振動回転準位は射影量子数Mの縮重が解け分裂する。分裂した各振動回転状態の対称性を拡張群により求め、dipole許容な遷移がどの準位間で起こるかを導き出すことが出来た。求められた遷移を実測のスペクトルに対して最小二乗フィッティングすると、回転定数や、結晶場の大きさを示すパラメーター??などのパラメーターを求めることがで