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　（このテキストは、平成21年12月末時点における就労支援会計処理基準及び厚生労働省資料をもとに作成しています） 平成22年１月20日 岩手県保健福祉部障がい保健福祉課 １　イントロダクション 工賃については、「生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払わなければならない」こととされており、就労系事業（就労移行支援、就労継続支援A型及び就労継続支援B型）では、各就労分野別の経理と工賃総額の適切な算定を図る観点から、「就労支援事業会計処理基準」を導入することとされています。この会計基準制定のポイントは、次のとおりです。 ※　生活介護事業においても生産活動を行う場合がありますが、就労支援事業会計処理基準の適用に関しては、事業者の任意となっています。 (1)　原価計算の実施と適切な工賃額の算定 就労系事業の支出は、主に①製品を製造する経費（就労支援事業販売原価）、②販売や各種サービスを提供する経費（販売費及び一般管理費）に大別されます。 　　　①の就労支援事業販売原価では、製造原価を算出します（ケーキの場合では、①の支出額に製造個数を割れば、１個当たりのケーキ原価が算定される）。この製造原価をもとに、②の販売費及び一般管理費額を勘案して、価格を設定することになります。価格を設定したのち、目標工賃額等を踏まえた実際の価格設定を行うことになります。 　　?例?　ケーキを製造し、販売する場合（１年間で250個生産） 　　　　　 　　　?①就労支援事業販売原価＝期首製品棚卸高＋製造原価（本年度経費（材料費＋労務費＋各種経費））－期末製品棚卸高 　　　　　　製造原価を算定しないと、適切な価格の設定ができない。製造原価に照らした価格の設定を行い、 収支を試算して利用者工賃額を設定（または変更）する。 　　　?②販売費及び一般管理費＝労務費＋各種経費 　　　?製造原価が1個60円（総額15,000円）、販売費及び一般管理費が20,000円の場合における、価格の設定。 　　　　①（250個×＠60円）15,000円＋②20,000円＝35,000円　35,000円÷250個＝140円 ∴　1個140円以上の価格設定が必要。これをもとに、実際の価格を設定（例：200円）し、目標工賃を定める（200円とした場合：60円×250個＝15,000円相当を工賃総額に反映できることになる）。 　　　　 　　(2)　各事業分野別の会計処理 　　　　一つの事業所で複数の事業（例：就労移行支援と就労継続支援B型）や様々な就労形態を採用している 場合（例：ケーキ製造分野と、工場からの下請けで工業製品の一部を製造している分野がある場合）には、 一括して収支を計算せず、それぞれにおいて収支を算定し、これを合算して事業所としての資金収支及び 事業活動収支を算定する必要があります（工賃額の算定も分野別に行うこととなります）。（次ページ参照） 　　(3)　積立金について 　　　　将来にわたって安定的に工賃を支給するため又は安定的かつ円滑に就労支援事業を継続するため、理事会の議決を経て、「工賃変動積立金」、「設備等整備積立金」の積み立てが可能です。 ２　会計書類の構成及び内容について　（各計算書類例は、多機能型事業所用を掲載しています） 　　　　①　資金収支計算書　　　　　　　　　　　④　資金収支決算内訳表 　　　　②　事業活動収支計算書　　　　　　　　　⑤　事業活動収支内訳表 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⑨　就労支援事業別事業活動収支内訳表 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⑩　就労支援事業製造原価明細表 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　?　販売費及び一般管理費明細表 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⑦　その他積立金明細表 　　　　③　貸借対照表　　　　　　　　　　　⑧　その他積立金預金明細表 　　　　　　　　　　　　　　⑥　貸借対照表内訳表 　④　資金収支決算内訳表：就労支援事業活動による収支、福祉事業活動による収支、施設整備等による収支、財務活動による収支に分かれます。就労支援事業活動による収支が旧来の授産事業活動による収支に相当します。 　⑤　事業活動収支内訳表：就労支援事業活動の部、福祉事業活動の部、特別収支の部、繰越活動収支差額の部に分けられています。就労支援事業活動の部が旧来の授産事業活動の部に相当します。 　⑥　貸借対照表内訳表：通