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木造構造物の倒壊現象 ― 軸組構法木造住宅の地震倒壊解析 ― Collapse Behavior of Wooden Structure Seismic Collapsing Response Analyses of Conventional Wood House 三宅辰哉1)，中村いずみ2)，清水秀丸3)，箕輪親宏4) Tatsuya MIYAKE, Izumi NAKAMURA, Hidemaru SHIMIZU, Chikahiro MINOWA 1) 日本システム設計，代表取締役，博士(工学)（東京都中央区日本橋人形町2-9-5, miyake@nittem.co.jp） 　Nihon System Sekkei Architects Engineers, President, Dr. Eng. 2) 防災科学技術研究所，主任研究員，博士(工学)（兵庫県三木市志染町三津田西亀屋1501-21, izumi@bosai.go.jp） 　National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention, Senior Researcher, Dr. Eng. 3) 防災科学技術研究所，契約研究員，博士(工学)（兵庫県三木市志染町三津田西亀屋1501-21, hidemaru@bosai.go.jp） 　National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention, Researcher, Dr. Eng. 4) 防災科学技術研究所，研究参事，博士(工学)（茨城県つくば市天王台3-1, minowa@bosai.go.jp） 　National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention, Research Counselor, Dr. Eng. １. はじめに 　兵庫県南部地震(1995)における約6,400人の死亡者のうち9割近くが建物の下敷きになり、また低層建物の全壊?大破建物約46,000棟のうち94%が木造であったと言われている1)。これらの木造建物のほとんどは耐力壁量および接合部補強が不十分な既存不適格建物であり、新潟県中越地震(2004)においても相当数の既存不適格木造住宅が全壊?大破の被害を受けている。現在、既存不適格の住宅は1,400万戸と言われ、その大部分を木造住宅が占める。このような既存木造住宅の地震被害を未然に防ぐためには、それらの耐震改修は依然重要な課題である。 　平成14年度から18年度に渡って実施された文部科学省大都市大震災軽減化特別プロジェクト?木造建物実験(以下?大大特?木造?、研究代表者：坂本 功、慶應義塾大学教授)では既存木造住宅の耐震性向上を目的とし、その一環として三次元有限要素モデルを用いた地震動による木造住宅の倒壊応答シミュレータ開発に関する研究が行われている2-6)。また、大型破壊実験施設E-ディフェンス(防災科学技術研究所)における既存木造住宅の震動台実験を含めた各種動的?静的実験および調査等が並行して行われ、得られた知見をシミュレータに反映することにより予測精度の向上が図られている。 　既存木造住宅の耐震改修促進のためには、所有者が地震動による倒壊の危険性および耐震改修による倒壊防止効果を具体的にイメージすることが重要である。本シミュレータでは解析による建物応答が写実的な三次元アニメーションとして示される。視角の設定は任意なので、建物内部における倒壊過程を疑似体験することもでき、所有者に耐震改修を動機付ける有効なツールとなる。また、耐震要素および接合部の構造性能の設定も任意であり、倒壊を防止するために必要な仕様の特定、倒壊防止技術の開発、および耐震診断技術の高度化等への活用も期待できる。 　ここでは本PDの主題の一つである「木造構造物の倒壊現象」として、大大特?木造の研究成果の一部である軸組構法木造住宅の地震倒壊解析手法を紹介する。 ２. 木造住宅の地震倒壊パターン 　図1に示すように兵庫県南部地震における木造住宅の被災パターン7)は多様であり、全体が崩壊して原形をとどめないようなパターンも多く発生した。倒壊解析手法構築に先立って、兵庫県南部地震被害報告書8)および本研究に並行して行われた中規模振動台実験結果を参考にして、木造住宅各部の破壊現象に関する仮定を次のように設ける。 ① 主要な水平耐力要素は筋かいおよび面材等壁 (土塗り壁、面材張り壁、木ずり壁等)の耐力壁である。 ② 面材等壁に接する柱は壁材により耐力壁面内の変位を拘