学校側の状況説明不足.docVIP

大阪府教育委員会  地域社会や家族構成の変化に伴い、これまで学校?家庭?地域が果たしてきた教育の役割分担が大きく変貌しています。保護者や地域住民の価値観や意識も多様化しており、時には、教職員の指導のあり方や学校の対応等に対して、厳しい指摘を受ける場合もあります。 また、保護者?地域住民の学校に対する要望の中には切実で速やかに応えるべきものもあります。学校は、そうした要望等に対して、その思いを十分に聞きとり、事実関係を正確に把握した上で、迅速な課題解決を図ることが求められています。 このような中、府教育委員会では、大阪の子どもたちの学力をはじめとした様々な教育課題を踏まえ、子どもたちが将来にわたって社会において生きる力を養い、社会を支えていくために必要な力をはぐくんでいけるよう、「『大阪の教育力』向上プラン」を昨年１月に策定しました。その目標の一つに「学校?家庭?地域をつなぐ」を掲げ、この三者の協働による教育の推進をめざしています。 学校?家庭?地域の協働をすすめるため、教職員は、子どもの思いや願い、友だち関係とともに、生活背景や家庭環境などを含めて理解し、子どもへの共感を前提として、一人ひとりの成長を支援しなければなりません。また、保護者や地域住民のニーズや要望を的確に把握し、学校運営に反映させていくことも重要です。 この「保護者等連携の手引き」は、保護者等の要望に対し、学校が組織として適切に判断し、その思いを的確に受けとめることができるよう、府立学校を対象として作成しました。保護者等との望ましい連携のあり方について記述するとともに、専門の研究者や弁護士からの提言やアドバイスも掲載しております。また、事例研究や研修のためのワークシートのページを設け、各学校の校内研修等でも活用していただけるよう工夫しています。 各学校においては、本手引きを活用し、学校?保護者?地域のよりよい関係を築き、信頼される学校づくりをさらに推進していただきますようお願いします。 平成22年３月 　大阪府教育委員会事務局 教育振興室高等学校課  ■　はじめに?????????????????????????????　ｉ ■　目次???????????????????????????????　ⅱ ■　巻頭言??????????????????????????????　１ ■　保護者?地域からの要望に対する５つの心がまえ???????????　２ ■　解説編 Ⅰ　初期対応と二次対応について???????????????????　５ Ⅱ　初期対応????????????????????????????　６ Ⅲ　二次対応????????????????????????????１２ 《コラム》「対応が困難になるケースを見てきて」????????????１８ Ⅳ　保護者等との日常的な連携????????????????????２１ 《コラム》「組織力を高めるために、できることからはじめてみよう」???２６ ■　事例研究?研修編 Ⅰ　事例研究????????????????????????????２８ Ⅱ　研修のためのワークシート????????????????????３４ ■　おわりに 「心が折れないために」 ??????????????????????４３  小野田　正利（大阪大学大学院教授） 「教職員は理屈、保護者は思い」――このキーワードは、私が10年前から講演で示してきた言葉です。職業柄からやむをえないものではありますが、学校という組織としての体制や教育活動としての一貫性を保持することが使命でもあり、生徒だけでなく保護者や地域住民などの他者に対して、教職員は「理屈を説いて分かってもらおう」という気持ちが先に立つことが多いようです。しかし、多くの場合、保護者や地域住民が学校に対して物言う背景には、「親としてわが子を思う気持ち」や「誰かに聞いてもらいたい思い」があるので、いくら理屈を説明しても納得してもらうことは難しいのです。別の言葉で言えば、教職員はクラスの「40分の１」あるいは「30人の中の１人」として児童や生徒を見ているのに対して、保護者は「１分の１」でわが子を見る傾向があるので、そこには当然のことながら、感覚のズレや行き違いが生まれやすいのです。 　ズレという程度であれば、お互いがきちんとしたコミュニケーションをとることによって、「子ども（生徒）を伸ばしていくために」双方が手をとりあうことが可能でしょう。しかし、いま学校現場には、時として無理難題要求（イチャモン）に相当するような要求が、保護者や地域住民などから寄せられ、これによって教職員のモチベーションが下がりつつあります。 　基本的には、教職員の側が真摯に向き合い、できるかぎり早期に相手