①先天异常-hs.doc

① 先天異常 　a) 定義　　生まれたとき、生まれる前から見られる異常のこと 　　　　　　　?特に、形態学的な異常のことを先天奇形と呼ぶ。 　　　　　　　?新生児の先天異常の頻度は約4％と云われている 　　　　　　　　　→胎児期の先天異常はより高頻度であるが、多くは生存維持できず、流産?早産 　b) 先天異常の分類（異常の種類による） 　　　　　　　遺伝障害 　生殖細胞中の遺伝子?染色体の異常によるもの 　　　　　　　　　　　　　　遺伝性疾患：もともと親の遺伝子に異常があるもの　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　染色体異常：生殖細胞から精子?卵子が形成される際に異常が生じる 　　　　　　　胎児障害 　発育中の胎児に異常が生じたもの 　c) 先天異常の要因　１．遺伝要因　　遺伝子異常、染色体異常　　　 　　　　　　　　　　 ２．環境要因　　主に胎児障害 　　　　　　　　　　 ３．遺伝要因＋環境要因 　　　１．遺伝要因　→[ 別の回の講義に回します。 ] 　　　２．環境要因　１）物理的因子 　　放射線照射　　　小頭症、小眼症、精神発達遅滞 　　　　　　　　　　２）化学的因子 　　薬剤　　　　サリドマイド???短肢症 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 アルコール、水銀（水俣病） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 喫煙　　　　ニコチン 　　　　　　　　　　３）生物学的因子 　風疹　　???　　先天性風疹症候群 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 TORCH 　　　　　　　　　　４）母体の疾患　　糖尿病など 　　　　　○サリドマイド　?睡眠剤 　　　　　　　　　　　　　?妊娠初期に投与された妊婦から、四肢の一部、あるいは全部が短い奇形（短肢症、 　　　　　　　　　　　　　　アザラシ肢）の新生児が出生 　　　　　　　　　　　　　?最近では、多発性骨髄腫の治療に使われ始めている（未承認薬） 　　　　　○胎児アルコール症候群　Fetal alcohol syndrome (FAS) 　　　　　　　　　　　　　?妊娠中に多量のアルコールを摂取した母親から特徴的な障害をもつ新生児が出生 　　　　　　　　　　　　　　１）特有の顔貌　　短い眼瞼裂、鼻唇溝が不明瞭、上唇が薄い、小頭症 　　　　　　　　　　　　　　２）発育の遅延　　低体重 　　　　　　　　　　　　　　３）中枢神経症状　　学習障害、行動障害 　　　　　○先天性風疹症候群　　原因　妊娠5ヶ月までの風疹ウイルスの感染 　　　　　　　　　　　　　　　　症状　１．眼症状：白内障、小眼症など 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２．心奇形：動脈管開存症 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　３．その他：難聴、精神発達遅延、小頭症、肝脾腫、血小板減少 　　　　　　　　　　　　　　　　予防　ワクチン接種（12-90ヶ月） 　　　　　○TORCH（トーチ）症候群　　妊娠中の感染によって胎児に重大な障害を引き起こす恐れのある感染症の総称。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　?Toxoplasmosis：（トキソプラズマ症） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　?Other：（その他：B型肝炎ウイルス、EBウイルス、水痘?帯状疱疹ウイルス、 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　梅毒など） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　?Rubella：（風疹） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　?Cytomegalovirus：（サイトメガロウイルス） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　?Herpes simplex virus：（単純ヘルペスウイルス） 　d) 先天奇形 　　　胎児の形態形成が行われる時期（胎芽期；約３週?８週 ）が重要！ 　　　主に胎芽期の障害が先天奇形の原因となる 。 　　　臨界期：環境要因の影響に対して最も高い感受性を示す期間 　　　障害の時期 受精卵期 胎芽期（器官形成期） 胎児期 　　　起こる異常 胎内死亡 主に形態的な異常 主に機能的な異常 　　１．結合体（二重体）　?一卵性双生児の発生の過程での不分離 　　　　　　　　　　　　　?寄生体、胎児内胎児（fetus in fetus） 　　　　　　　　　　　　　?無心体 　　２．無脳症　　疫学　1/1000出生 　　　　　　　　　原因　妊娠初期の神経管の前部の閉鎖不全による 　　　　　　　　　形態　大脳半球の全て、あるいはほとんどが欠損。頭蓋をおおう皮膚、骨が欠損。脳組織の露出。 　　　　　　　　　　　　眼球突出（カエル様顔貌） 　　　　　　　　　予後　ほぼ死産。 　　　　　　　　　診断　超音波で出生前診断可能。母体血清、