医療機器に関する技術動向調査.pdfVIP

医療機器に関する技術動向調査 平成13 年5 月31 日 技 術 調 査 課 ■ 「医療機器の技術動向調査」の趣旨 ①．目的 医療機器産業に関する市場動向や産業政策、医療機器に関する技術動向や （産業）技術競 争力などを調査?整理することにより、我が国における医療機器産業の技術開発戦略立案に 資すことを目的とする。 ②．調査対象医療機器について 本調査では 「医科」関連（家庭用治療器含む）医療機器を調査対象とし、「歯科」及び「眼 科」、「衛生用品」に該当する医療機器は調査対象外とした。 ③．調査の概要 以下の3 つの観点により調査?整理を行なった。 Ⅰ．医療機器産業の概況 Ⅱ．特許情報を用いた主要医療機器 （治療用機器）の技術動向分析 Ⅲ．医療機器における技術開発の方向性 上記Ⅱでは、医療機器市場における成長率の大きさなどを根拠に、治療用機器等に特定化 した分析を行なっている。 Ⅰ．医療機器産業の概況 １．医療機器産業を取り巻く環境について １）人口構造の高齢化?疾病構造の変化 今後予想される、日本国内の総人口に占める高齢者割合の急速な高まりに伴ない、高齢者 に多く見られる疾病や介護を要する老人の増加等が考えられている。疾病構造をみると、感 染症等の急性疾患が減少し、がん ?心疾患?脳血管疾患?糖尿病等の慢性疾患が増えている。 ２）国際化の進展 日本企業は信頼性の面で諸外国より相応の評価をされてきており、今後、医療機器開発に おける外国企業との連携や共同研究開発など、国際貢献できる分野としての期待も大きい。 また、医療機器市場の国際化に関しては、これまでアクション?プログラム、ＭＯＳＳ （： Market Oriented Sector-Selective （市場指向型?分野別））協議、日?ＥＣ専門家会合などを 通じ国際的ハーモナイゼーションを積極的に推進している。 ３）医療の質の変化 注） 近年、国民のニーズが多様化するとともに、患者のＱＯＬ を重視する風潮は強まり、 それまでの検査?治療等を主眼とした医療だけではなく、いかに患者の肉体?精神の両面に わたるケアを行なえるかが課題となってきている。病気の診断?治療から予防へ、治癒の技 術からＱＯＬの技術へと医療はその質を変化させている。 注）QOL ：Quality of life の略。一般的には、人間が日常生活上で必要とされている満足感、幸福感、安定感 を規定している様々な要因の質のことをいう。 －1－ ４）医療に対するニーズ 先の疾病構造変化であげた、近年増加している疾患には、療養に長期を要し身体の機能や 生活の質を低下させるものが多い。その疾病動向を踏まえ、医療に対するニーズを整理する と以下の３つが重要な方向性となる。 a)医療の低侵襲／無侵襲化 医療において、患者の肉体的?精神的負担を可能な限り軽減していこうとするのは自明の 方向性である。今後、さらに侵襲性の少ない機器へのニーズが増大するだろう。 b) 医療の高度化 より的確で効率的な診断 ?治療は、医療行為に関与する人々の課題であり、その実現の ために医療情報の高付加価値化などのより高度な医療関連技術が求められている。 c) 医療の生活化／日常化 医療経済や国民の生活の質の観点から、セルフケア、プライマリーケアの重要性は増し、 長期療養を要する高齢者の在宅医療なども重要性が増大するものと考えられる。 注)特許情報の分析では、さらにニーズ分類として 「医療事故の防止」を付加している。 ５）研究開発支援策 従来、日本の医療機器関連産業政策は各省庁が独立で研究テーマや研究助成金額を決めて おり、相互連携が取られていなかったが、「メディカル?フロンティア戦略」（平成12 年 5 月公表）における 「がん、心疾患等対応高度医療機器プログラム」では、旧厚生省と旧通産 省が連携し、研究機関や企業の助成を行うというスキームが検討されている。助成金の効率