深海底探索調査システムの基礎実験.pdfVIP

海洋科学技術センタ 試ー験研究報告JAMSTECTR 5 (1980) 深海底探索調査システムの基礎実験 海洋開発等に関連して人類が持込む人工物体や，自然界で起こる地殻変動によつて引起 こ?される深海底の微細な変化を検出するため, 1977 年以来，深海底探索調査システムの開 発を進めてきた。 このシステムは基本的には，(1)海底準拠測位システム. (2)各種ソーナーやカメラを装備 した曳航フレーム，(3)コンピュータ一による情報処理システム，く4)曳航装置および船から なりたつものである。 浅海域の実験を経て，水深約1500m までの基礎実験で得 られた成果等 につ いて 報 告する。 On the Fundamental Experiments of a Deep Ocean Floor Survey System Hiroshi Hotta*2, Toshiyuki Nakanishi*2, Hiroyasu Momma*2, Kiyoshi Ohtsuka*2, Toshio Tsuchiya*2 Since 1977, JAMSTEC has been developing a Deep Ocean Floor Survey System to enable detection of very minute variations on the sea floor caused by human activities or tectonic movements. The system is essentially composed of (1) a navigation system referred to the sea floor, (2) a towed frame installed with sonars and cameras, (3) a computer aided information processing system, and (4) towing gear on a ship. The paper describes the system and presents the results which were obtained through fundamental experiments made in shallow water and at about 1,500 m. *1　海洋利用技 術部 27 堀田 宏＊1　中西 俊之＊1　門馬 大和 ＊1 大塚 清＊I　土屋 利雄＊1 *2 Marine Exploitation Technology Department 1? は　じ　め　に ある程度広範囲にわたる深海底の微細地形の調 査研究は, 1960 年代の初頭から米国のスクリブ ス海洋研究所のスピース博士らによって始められ た1）ことは良く知られている。その後，原子力潜 水艦゛スレッシャー号 ”の沈没事故がきっかけと なり， 深海底における人工物体の探索の必要性が 強く認識され，関連した技術の開発が，主として 米国で推し進められてきた。 わが国では従来深海底への関心は必ずしも強く はなかった。しかし近年, 200 海里経済水域の設 定やマンガン団塊の開発等に関連して， 深海域で の資源やエネルギーの可能性に， ようやく目が向 けられようとしてい る。また，社会生活に多大な 災害を及ぼす巨大地震は，深海域で繰返し発生し ていることからも深海底への関心は強まってきて いる。 一方， わが国が必要とする莫大なエネルギーを 保持するうえで，必然的に排出きれる廃棄物の処 理に関して，国土の狭小なわが国にとって，深海 空間はきわめて重要な意味を持つと考えられる。 科学技術庁は， この問題に備えて　深海底探索 調査システム ”の研究開発に着手することとなり， 海洋科学技術センターに委託した。 2? システムの構成 この深海底探索調査システムの最終的な目的は， 水深約6,200m の海底に処分された廃棄物容器の 群落を探索し， その分布を把握するとともに，海 底における状態の撮影 も行おうとするものである。 廃棄物容器の大きさは直径60c。 長さ90㎝の円 筒形 である。この規模の物体をｌ 個ずつ探索する ことはきわめて困難であることは想像に難くない。 しかし，ある定められた範囲に。 かなり多数の容 器が処分される場合には， 自然の深海底の表面が かなり乱される筈であるから， 周囲との比較によ って，それらの集積物を見付け出せる可能性はある と考えられる。 そのためには,勿綸　事前に自然のまゝの