第2回ひとり親家庭支援の現状と課題.pdfVIP

76 第 2回 第 2回 ひとり親家庭支援の現状と課題 9月 17日（火）10 : 00～12 : 00 エル?ソーラ仙台大研修室 ◇ 【報告】 I.　仙台市母子家庭相談支援センターについて 仙台市母子家庭相談支援センター所長　行場麻衣子 II.　仙台市父子家庭相談支援センターについて 一般社団法人パーソナルサポートセンター総合相談センター 主任相談員　池下英理子 III.　震災後の父子家庭の現状と課題 宮城県父子の会　村上吉宣 IV.　「東日本大震災後のひとり親家庭 調査事業」の報告 MIYAGI子どもと家庭支援プロジェクト　事務局　小林純子 77 第 2部─2　ひとり親家庭支援の現状と課題 ◇就労支援セミナーなどでサポート 　仙台市母子家庭相談支援センターは、仙台市からの 委託を受け、公益財団法人せんだい男女共同参画財団 が運営し、これまでセンターを運営してきた社会福祉 協議会から事業を引き継ぐ形で、2013年 4月 11日に 仙台市男女共同参画推進センター エル?ソーラ仙台 内に移転オープンした。母子家庭の母や寡婦を対象に、 自立に向けた就業、生活に関する相談や各種セミナー を実施している。 　年間事業は、就業自立支援事業として通年で面接と電話による就業?自 立相談を行っているほか、就業支援講習会等事業として、今年は就業支援 セミナーを年 5回、パソコン講座の初級、中級講座併せて 4コースを実施 する他、就業情報提供事業を行っている。 　また、離婚、経済、養育費などについて専門家による特別相談を実施す る。直近では女性ファイナンシャルプランナーを講師として、離婚後間も ないシングルマザー向けにマネー講座と個別相談を行う予定である。その 他、仙台市との共催でひとり親家庭関係相談員向けに研修会を企画してい る。 　昨年度までとの違いは、火曜日の相談時間を夜 7時までに延長したこと、 面接相談に専門のスタッフによる託児サービスを付けたこと、相談室が独 立しプライバシーが守られるようになったこと、父子相談と場所が分かれ たことで、関係者同士がニアミスすることなく、安心して相談できるよう 【報告】 I.　仙台市母子家庭相談支援センターについて 仙台市母子家庭相談支援センター所長　行場麻衣子 78 第 2回 になったことである。またエル?ソーラ仙台との連携により、離婚前後の 気持ちが不安定な時期でも女性相談や、法律相談、その他各種事業につな げることでサポートするメニューが広がり、母子センターのスタッフだけ でなく、関わるスタッフも増えたことがあげられる。そして一番の違いは 当財団が運営することにより、ジェンダー視点のある相談、サポートがで きるようになったことである。 ◇ジェンダー意識を変える重要性 　相談の現場にいると、ジェンダーに縛られている人が多いと感じる。 「ジェンダー」とは女らしさや男らしさといった社会的?文化的につくら れた性差のことで、例えば小さい時から女性だからという理由で自分の感 情や考えを抑制するように躾けられたり、素直であることを強いられたり すると、大人になっても「自分のことを自分で決めていいんだ」という発 想が持てなくなる。相談で「あなたはどうしたいですか」、「自分で決めて いいんですよ」と言っても、なかなか自分で決めることができずに、途方 に暮れてしまうひとがいる。 　私たちにできることは、相談者が自分で決められるように情報提供し、 いろいろな選択肢を提示してその人の決定を支持することである。また、 性別役割分担に囚われていてなかなか働く意識が持てないひともいる。夫 に養われることが当たり前だと思うと、自分で働くことに踏ん切りがつか ず、DVがあっても我慢してしまう傾向がある。ジェンダーの縛りから自 由になることで、解決する問題がかなり多いのではないかと感じている。 私たち財団には、社会のしくみを変える力はないかもしれないが、ひとの 意識、ジェンダーの意識に働きかけることができるのではないかと考えて いる。 　センターは母子家庭の母の就業と自立をサポートするところ。仕事を始 めるにあたって不安なことや、わからないことについて一緒に考えていく。 79 第 2部─2　ひとり親家庭支援の現状と課題 　「一般社団法人パーソナルサポートセンター」は、 伴走型の生活困窮者支援を行うことを目的に、2012 年 3月 3日に各種 NPOが集まって発足した。その 8 日後の 3月 11日東日本大震災が起こり、対象者を生 活困窮者から震災で被災された方に変更し、支援員を 雇用してさまざまな研修を行ったのちに、仮設住宅の 見守り活動が始まった。始めは傾聴を中心とした支援 だったが、次は生活面、就労に関する課題が出てくるだろう